本アーカイブページは、国際問題評論家の北沢洋子が寄稿した記事、資料等の情報を整理したものです。

トルコの総選挙-地滑り的変化

2015年6月19日北沢洋子 1.与党の後退と左翼政党の躍進  さる6月7日、トルコで総選挙(定数550議席)が行われた。その結果は、エルドアン大統領の与党「公正発展党(AKP)」が、258議席と、はじめて過半数を割ったのであった。しかし、AKPは依然として第一党であり、野党との連立しなければならない。 この総選挙の争点は、エルドアン大統領が目指した「強い大統領」、つまり、今までの議会内閣制を大統領制に変えるための憲法改正にあった。トルコでは、憲法改正には、5分の3の330人の議席が必要であった。しかし、投票者は、「強い大統領」と2002年以来のAKPのネオリベラルな強権政治を拒否したのであっ…

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ウクライナのはげたか経済と労働者の反撃

2015年6月6日北沢洋子  ウクライナは、現在、ほとんど破産状態にある。その中で最も打撃を受けているのは労働者である。労働者の多くは、賃金を受け取っていないか、たとえ受け取っていても、最低賃金をはるかに下回る“不法な”賃金である。経営者は、会社に残っているお金はすべて引き出しており、外国に送金するか、そう出来なくても、外貨に換えている。 賃金の未払いは、もっと拡大するだろう。ウクライナの対外債務は、100億ユーロに上り、債務返済不履行(デフォールト)の前夜にある。役人や経営者たちは、これを解決する意思など全くない。外国から借りられるところはもうとっくにない。為替レートは、急激に下落している。…

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アフリカは北に毎年590億ドルを支払っている

2015年5月20日北沢洋子  このほど、ロンドンにある「ジュビリー債務キャンペーン(JDC)」は、アフリカのNGOと協力して、「アフリカは、アフリカを除いた世界に、毎年1920億ドルを支払っている」というタイトルで、研究結果を発表した。これは、アフリカが毎年、受け取っている“援助”の6.5倍にあたる。 この研究は、広範な領域、すまわち、不正な金融取引、多国籍企業が本国に送金した利潤(これは、英国の法制度のもとにあるタックス・ヘブンを通じて)、債務返済、技術者の頭脳流出、不法な森林伐採や漁業、気候変動に伴う災害などに及んだアフリカの全損害を調査したものである。 これは、援助と資源収奪との間のギ…

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IMFはギリシャへの融資で25億ユーロの儲け

2015年5月18日北沢洋子  4月9日、ギリシャは、IMFに4億6,200万ユーロを返済した。これはギリシャ政府にとっては、血の出るような思いであった。 英国の「ジュビリー債務キャンペーン(JDC)」によると、IMFは、2010年以降、今年4月までに、ギリシャへの融資で、25億ユーロの利益を上げたと言って.いる。そして今後ギリシャが返済を続けるならば、その利益は43億ユーロに上るだろう。 IMFのギリシャへの融資は3.6%の利子を課している。この額は、IMFのギリシャ融資に対するコストをはるかに上回っている。現在は0.9%の利子で十分だ。もし利子がこの0.9%であったなら、2010年以来、ギ…

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貧困国に対する融資ブームはギリシャ型債務危機の恐れ

2015年5月18日北沢洋子  さる3月、世銀は途上国の債務に関するデータを発表した。それによると、貧困国の政府への融資が、前年比40%も伸びていることがわかる。そして、グローバルな金融危機が発生した2008年と比較すると、3倍の伸びである。 これを、貧困国に限ると、2013年には173億ドルに上っている。2012年には、122億ドル、2008年には61億ドルであった。この融資額の中で多国籍機関、特に世銀とIMFの融資が占める比率は63%である。また27%が中国、日本、フランス、ドイツなどの政府によるものである。民間銀行の融資は?%である。 融資ブームの原因は、ドナーたちが開発援助を贈与ではな…

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ギリシャの債務監査委員会

2015年5月18日北沢洋子 1.ヨーロッパで初めて債務監査  今年2月、ギリシャの与党SYRIZAによって、ギリシャ議会の議長にノミネートされ、300票中236という圧倒的多数で選出されたZoe Konstantopoulou(Zoe K)は、4月4日、議会の中にギリシャの「対外債務の監査委員会」を設置した。それは、またの名を「債務の真実を追求する委員会」と呼ばれる。 4月6日、彼女は、委員会がギリシャ人と外国人で構成され、「ギリシャの債務の中で、どの部分がIllegal、Illegitimate、Odious、Unsustainableであるかを検証することが主な任務である」と語った。 こ…

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2015 IMF・世銀の春季総会

2015年4月27日北沢洋子  1.春季総会は何を決定したか  中央銀行総裁と蔵相が集まるIMF・世銀の春季総会は、今年4月17~19日、ワシントンで開かれた。通常、この会議はグローバル経済について重要な決定がなされるのだが、今年の総会は何ら内容のある議論も決定もなく終わった。とくに世銀は人権侵害と環境破壊の非難に答えておらず、またIMFもガバナンスの改革を打ち出さすことが出来なかった。 今日、世界経済は憂慮すべき状態にある。例えば、新興国の経済成長の鈍化、一次産品の値下がり、途上国の通貨政策の不安定などが現実のものになっている。しかし、その回答を出すべきIMFの「国際通貨金融委員会(IMFC…

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世界社会フォーラム2015チュニス

2015年4月24日北沢洋子 3月24~28日、チュニジアの首都チュニスで世界社会フォーラム2015が開かれた。   チュニスでの開催は、2013年に続いて2回続けての開催となった。フォーラムには、120カ国から6万人のNGO、労組、研究者、活動家が集まり、El Manar大学のキャンパスで1000のワークショップが開かれた。大学は、財政の正義、健康な環境、無料の健康保険、新たな消費モデルといった内容の無数のポスターや絵画が飾られた。  参加人数が減ったことと、ささいな混乱があった。たとえば、ボランティアの若者たち数百人が、宿泊所や経費の不満を唱えて、会場内をデモしたこと、数は少ないが「イスラ…

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南アフリカのCOSATU(労組連合)の分裂

2015年3月31日北沢洋子 1.南アフリカの三位一体   昨年12月20日、南アフリカ最大の労組連合COSATUの年次大会がボクスバーグで開かれた。ここで、COSATUの最大の加盟労組である金属労組(NUMSA)が追放された。これは、95年以来、ポスト・アパルトヘイトで続いてきた南アフリカ民族会議(ANC)、南アフリカ共産党(SAPC)、労組のCOSATUによる三位一体の危機であり、さらにそれぞれの内部の危機を物語っている。 ここで南アフリカの統治機構である三位一体について、解説しよう。 ANCは、1912年に設立された最も古い反アパルトヘイト運動である。1961年、「Umkhonto We…

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アフリカのフランス新植民地主義

2015年3月24日北沢洋子 1.サヘルの貧困と砂漠化  北アフリカのサハラ砂漠と南の熱帯アフリカの間には「サヘル」と呼ばれる草原の半乾燥地帯が横たわっている。これは、大西洋に面したセネガルから紅海に面したスーダンに至る東西に長い帯状の地域である。このサヘルは、1972年以来、幾度も有史以来の大旱魃に襲われた結果、サハラ砂漠化し、もはや草原地帯と呼べない。 サヘルの旱魃は、1960年代、当時高度成長期にあったヨーロッパがサヘル以南の熱帯雨林を伐採したせいである。これは日本が東南アジアの熱帯雨林にしたことと変わりがない。 サヘル地域は、19世紀末にヨーロッパがアフリカ大陸を分割した際、ガーナ、リ…

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米・イラン核開発協議

2015年3月20日北沢洋子 1.米・イランの核開発交渉のデッドライン  3月15日、苛の核開発についての米・イランの協議が再開した。これは、今年1月以来、ケリー米国務長官とイランのザリフ外相との間で、非公式に行われてきた8回にわたる会談やEメールのやり取りなど粘り強い交渉の成果であった。場所はスイスのジュネーブ、2人はローヌ川のほとりを散歩しながら話し合った。 2人の過度の密接さについては、イラン議会のタカ派が非難する声明を出したほどだった。国際法の博士号を持つザリフ外相は、イスラエルのナタニヤフ首相の訪米に合わせて交渉を再開することを目指していた。ケリー長官の肩の入れ方と時間の投じ方は、イ…

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オバマ大統領 vs ネタニヤフ首相

2015年3月13日北沢洋子 1.米議会でイスラエル首相がオバマ大統領を批判  3月3日、イスラエルのネタニヤフ首相は、米上下両院合同の議場で演説し、「イランの核開発をめぐって、米・イランが合意することに反対する」立場を表明した。そして、「今後も米国の敵国であり続けるイランと手を結べば、核の大量殺戮兵器の悪夢を引き起こしかねない」といって、米国をけん制した。 イスラエル首相のオバマ大統領に対するこの公然とした挑戦は、全世界を驚かした。米国がイスラエルの産みの親であり、建国以来、人口1人当たりでは最高額の軍事・経済援助を供与しており、国際政治の場ではイスラエルの権益を損なういかなる決議にも一貫し…

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ISISとは何か(その2)

2015年3月10日北沢洋子  1.私の見たイスラム  「イスラム教は最も寛容な宗教である」というのが、若い頃、私が10年間、中東で過ごした時の感想である。偶然、カイロ市内にユダヤ人コミュニティがあることを発見した。当時エジプトは英・仏・イスラエル軍に攻め込まれた「スエズ戦争」の直後で、街頭では、若者が「イスラエルを海に突き落とせ」などと叫んでデモしていたにもかかわらず。 しかしカイロのユダヤ人は、敵国人である筈なのに、平和に暮らしていた。彼らは「第2次大戦中のほうが、ナチの空爆の標的だったので怖かった」と言っていた。 現在、「砂漠の宗教」という固定観念になっているイスラム教は、「サラセン時代…

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「エボラ危機」は開発援助の失敗

2015年3月10日北沢洋子  いわゆる「エボラ危機」は、単なるアフリカ固有の疫病ではない。危機の根源は、南北間の埋めがたい格差にあり、それは半世紀の及ぶ開発援助の失敗である。 それは、今から1年ほど前にさかのぼる。西アフリカのギニアで保健省とNGOの「国境なき医師団」のもとに、ギニア南部の僻村で活動している医療スタッフから奇病が発生したという報告が届いた。 一週間後にはこの奇病がエボラ熱でることが判明し、国境を越えてリベリア、シエラレオネに広がっていることが判明した。 1.エボラ熱の根源は複雑である エボラ熱の最初の患者で、最初の犠牲者は、幼児のEmile Ouamounoであった。彼の死後…

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イエメンの春と政治的混乱

2015年2月20日北沢洋子 1.「イエメンの春」のはじまり  2011年1月16日、イエメンで、チュニジアの春に続いて、「イエメンの春」が起こっていた。まず首都のサナア大学の学生たちが「サレハ大統領退陣」を要求する集会を開いた。27年間政権の座についていたサレハ大統領は息子を次期大統領にしようとしていた。 これに、市民が加わり、たちまち数万人のデモになった。サレハ大統領の即時退陣を求めるデモ隊は、大学前の広場を「自由広場」と名づけて、座り込んだ。 やがて、3月18日、治安部隊が非武装のデモ隊に向かって銃撃を開始した。この弾圧に対して、大統領の身内からも反対の声が挙がった。政府軍の将校、与党の…

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アルゼンチンのはげたかファンド

2015年2月13日北沢洋子  昨年10月3日、こくれん総会で、アルゼンチンのクリスチン・キルチネル・フェルナンデス大統領は、同国を襲った、はげたかファンドを攻撃する演説を行った。フェルナンデス大統領は、静かな声だが、毅然として、「貴方たちは、イスラム国を攻撃する有志連合を結成しているが、事実は、その連合こそイスラム国の味方ではないか」と話始めた。 このようなフランクな言葉は、最近の国連では聞かれなかったので、出席者はみな驚いた。彼女は続けて、西側の金融制度を「経済的テロリズム」と呼んだ。 それは、ニューヨークの連邦地方裁判所で、トーマス・グリエサ判事が、原告であるはげたかファンドの協会である…

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ボコ・ハラムの謎

2015年2月8日北沢洋子 1.ボコ・ハラムとは何か  イスラム国と並んで、現在、最大のテロ地域は、ナイジェリアのボコ・ハラム(Boko Haram)となっている。シリア・イラクにまたがる「イスラム国」と同じく、ジャーナリスト、軍隊、対テロ専門家たちの情報はほとんどなく、謎の地域である。住民に対する暴力、外国人や女性、子どもの誘拐、斬首などの虐殺、村や街の破壊といったといったニュースが、イスラム国と同様、毎日報じられているが、何を目的にしているのか、不明だ。 私は、「イスラム国」や「ボコ・ハラム」、それにパキスタン/アフガニスタンの「タリバン」、ソマリアの「シャバブ」などの地域集団を「テロ」組…

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石油価格の地政学

2015年1月16日北沢洋子  昨年6月以来の半年で、石油価格は、バレル当り115ドルから60ドルと、50%近く下落した。これは、石油に限らず、他の一次産品すべての中でも、史上最大の暴落となった。そして、この値下がりは、世界の政治・経済秩序を大きく揺るがしている。 一口に言えば、この値下がりは、世界最大の石油輸入国である米国と中国の経済を潤し、一方では、米国の敵対国であるロシア、イラン、ベネズエラなど大石油輸出国に災厄をもたらし、金融・通貨危機までも引き起こした。米国の敵対国では、北朝鮮だけが打撃を受けていない。なぜなら、北朝鮮は石油を100%輸入に頼っているからだ。  とくに、ロシアの場合、…

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黒いアフリカの春

2015年1月14日北沢洋子   昨年10月30日、西アフリカのブルキナファソで政変が起こった。日本のマスコミは僅か100字のベタ記事が1回載っただけだったが、実際には、アラブの春に次ぐ市民社会の大デモが、独裁政権を打倒したのであった。 市民による街頭デモが、長期独裁政権を倒したチュニジア、エジプトという北アフリカの「アラブの春」が、サハラ以南のアフリカの長期独裁政権に対しても続くと期待されていたが、ブルキナファソがその最初の例となった。 今回、ブルキナファソで、デモによって打倒されたブレーズ・コンパオレ政権は、1987年にクーデターでトーマス・サンカラ社会主義政権を倒し、以来27年間にわたっ…

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香港の雨傘革命

2014年11月3日北沢洋子 1.世界最大規模、最長期のオキュパイ・デモ    去る9月28日、香港で、「行政長官選挙の制度改革」をめぐって、民主化を求める学生が街の中心部の道路を占拠した。香港島では、官庁街の「金鐘(アドミラルティ)」を始め、金融街の「中環(セントラル)」、「湾仔(ワンチャイ」「銅鑼湾(コーズウェイ)」などの繁華街、そして九龍半島では繁華街「旺角(モンコック)」の道路すべてに座り込んだのであった。これで、香港の政治、経済、金融の機能は完全に麻痺した。 そして、今、1ヵ月が過ぎようとしている。今回の香港のデモは、2011年9月、ニューヨークのウォール街占拠にはじまった一連のオキ…

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米の空爆シリアに拡大

2014年10月11日北沢洋子 1.国連安保理のISIS決議  さる9月24日、国連安全保障理事会は、首脳級の会合を開き、全会一致で「イラクとシリア・イスラム国(ISIS)」対策を決議した。安保理が首脳級の会合を開くのは、珍しいことで、国連創立以来の70年間に、これで6回目である。折から開かれていた国連総会に首脳たちが出席していたという背景がある。 決議は、欧米から多数の若者がISISに集まっていることを取り締まる「具体的な措置」を講じるよう各国に求めるというものであった。 これは安保理の議長を務めたオバマ大統領のほとんど恫喝にひとしい発言が功を奏したのであった。彼は「ISISに合流した若者が…

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インドのマオイストが国土に40%に展開

2014年10月北沢洋子抄訳 マオイスト(毛派)の蜂起がインドの国土の40%に及んだのは、民衆の貧困とニューデリーの政府のネオリベラリズムのせいだ―Asad Ismi (『The Red Phoenix』 2013年12月20日号掲載) 1.インドのマオイストの攻撃  2013年5月25日、マオイスト・ゲリラの急襲によって、インド中央部のチャチィースガル州(Chattisgarh)の会議派議員28人が殺された。これによって同州の会議派指導部は崩壊した。この州ではヒンズー右派のBharatiya Janata Party(BJP)が政権をとっており、会議派は野党であった。 この州では、10年4月…

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ISISとは何か

2014年9月02日北沢洋子  今年6月頃、イラクとシリアにまたがる広大な地域に突如出現した「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は、謎の多い組織である。これまでに判ったことをまとめてみた。 1.「イスラム国」独立宣言  さる6月29日、ISISは独立宣言を行った。その領土は、イラク第2の都市モスールを中心としたイラクの北西部からアレッポなどシリアの東北部に及んでいる。 この「独立宣言」を承認した国はまだない。ISISは、独立宣言とともに、イラクとシリアの国名を削り、「イスラム国(IS)」と改名した。また「アブ・バクル・アル=バグダーディ」がその「カリフ」であると発表した。カリフとは、イス…

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なぜ、ガザで殺戮が繰り返されるのか

2014年8月北沢洋子 1.イスラエル軍のガザ爆撃  ガザは、イスラエルとエジプトに囲まれた狭い回廊である。そこに170万人のパレスチナ人が暮らしている。イスラエル、エジプトの検問所は封鎖されている。空港も港も使えない。ガザは「世界最大の天井のない刑務所」と言われる所以である。 7月8日未明、イスラエル軍は、ガザに対して約50カ所を空爆した。イスラエル軍の作戦は、7日夜にハマスの軍事部門がイスラエル南部をロケット弾数十発で攻撃したことへの報復だと言っている。確かに、これまでも、ハマスがロケット弾攻撃を行っていた。しかし、イスラエルの報復はロケット弾攻撃の度合いに応じて限定的に空爆をしてきた。 …

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カルフォルニアの港湾労働者ストでターミナル3ヵ所が閉鎖に

2014年7月19日北沢洋子 1.史上最大の港湾スト  チームスターズ(Teamsters)はトラック運転手の労働組合で、全米の労組の中で最も歴史が古く、規模が大きく、戦闘的なことで知られる。 7月14日以来、ロスサンゼルスとロングビーチのチームスターズ支部の港湾トラック運転手120人がストに突入した。その結果、カルフォルニア州最大のロサンゼルス港をはじめとする計3ヵ所の港が、歴史上はじめて完全閉鎖に追い込まれた。彼らがボイコットした港湾会社は、「Pac 9 運送」、「Green Fleetサービス」、「トータル運動サービス(TTSI)」の3社であった。さらに「エバグリーン・コンテナ・ターミナ…

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オバマ大統領、イラクに再派兵を決定

2014年7月北沢洋子 1.300人の米軍事顧問団再びイラクへ  さる6月19日、オバマ大統領は、イラクに再び米軍を派兵することを決定した。戦闘部隊ではなく、300人規模の「軍事顧問」を送るというのだが、誰一人、これで終わると思う人はいない。 なぜなら、ベトナム戦争の例があるからだ。ケネディ大統領時代の1960年代初頭、米国は南ベトナム軍の訓練のために、2~300人の特殊部隊(グリーンベレー)を送った。しかし、これでは効果が挙がらず、数年後には、50万の地上部隊を投じ、さらに北ベトナムを爆撃した。しかし、75年、米軍は5万人の戦死者を出し、ベトナムから撤退した。今回、派兵される米軍事顧問は、海…

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オバマ大統領、イラクに再派兵を決定

2014年7月北沢洋子 1.300人の米軍事顧問団再びイラクへ  さる6月19日、オバマ大統領は、イラクに再び米軍を派兵することを決定した。戦闘部隊ではなく、300人規模の「軍事顧問」を送るというのだが、誰一人、これで終わると思う人はいない。 なぜなら、ベトナム戦争の例があるからだ。ケネディ大統領時代の1960年代初頭、米国は南ベトナム軍の訓練のために、2~300人の特殊部隊(グリーンベレー)を送った。しかし、これでは効果が挙がらず、数年後には、50万の地上部隊を投じ、さらに北ベトナムを爆撃した。しかし、75年、米軍は5万人の戦死者を出し、ベトナムから撤退した。今回、派兵される米軍事顧問は、海…

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中東和平交渉の真実

2014年6月1日北沢洋子 1.パレスチナのハマスとファタハの和解 さる4月27日付けの『朝日新聞』は、  「パレスチナ人の代表組織(PLO)は、26日、ヨルダン川西岸の自治区ラマラで中央評議会を開き、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの和解合意を支持し、暫定統一政府の設置、自治政府の設置、自治政府議長、評議会選に向けた動きを進めることで一致した」ことを報道した。  これは嬉しいニュースである。と言うのには、昨年、ケリー米国務長官が中東でシャトル外交を展開し、イスラエルとパレスチナの和平交渉の再開を呼びかけた。しかし、肝心のパレスチナの組織が分裂している状態では、PLOに交渉の主体とし…

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“社会主義”セーシェルはどこへ行くのか?

2014年5月1日北沢洋子  おそらくセーシェルがどこにあるか知っている人は少ないだろう。セーシェルは、インド洋に浮かぶ115の島で出来た小さな島嶼国である。地理的、政治的にアフリカ圏に属する。 人口は100,000人で、アフリカ人、インド人、ヨーロッパ人、アジア人で構成される。多くは、フランス、続いて英国の植民地時代に、無人島であったこの島嶼に連行された奴隷の子孫である。したがって公用語もフランス語、英語、クレオール(外来語と土着語の混合)と多言語である。 1.セーシェルはパラダイスか  今日のセーシェルには観光以外の産業はない。   このように書くと、失業者で溢れた貧しい島国を想像するだろ…

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複雑極まりないウクライナの政変

『社会民主』14年04月号掲載北沢洋子(国際問題評論家)  キエフのデモを書き始めたのは、2月末であった。その段階では、親ロシア政権を倒したデモが単に「親EU」ではないことに注目した。しかし、3月に入ると、プーチン大統領が上院の承認を得て、ロシア軍をクリミア半島に展開するという事態に発展した。 まさに米ロの対立という冷戦時代が再現した。月刊誌では急展開する事態に間に合わせることが出来ないので、ここでは、キエフのデモの本質、クリミア経済とIMF, クリミア半島の地政学などにとどめる。 1.親ロ政権の崩壊  ウクライナでは、昨年11月21日、ヤヌコビッチ大統領が、仮調印まで済ませていた「ヨーロッパ…

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キプロスの債務とトロイカ

2014年3月31日北沢洋子   地中海に浮かぶキプロス島は、わずか100万強の人口にもかかわらず、ギリシャ系住民とトルコ系住民が居住する地域に2分されている。国名も、それぞれ北キプロス・トルコ共和国とキプロス共和国を名乗っている。 キプロス共和国は、EUの加盟国である。北キプロスの方は、トルコしか承認しておらず、国際的には忘れられた存在である。 1.キプロスの国営企業の民営化  したがってここで取り上げるのはキプロス共和国である。あまり知られていないことだが、EU加盟国のなかで、IMF・ヨーロッパ中央銀行(ECB)・ヨーロッパ委員会(EC)、すなわち「トロイカ」によって財政援助の見返りに「緊…

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ポルトガル政府債務危機と民営化

2014年3月31日北沢洋子  ポルトガル政府の債務は、2013年末、GDPの125%に上った。昨年末、この債務の利子の支払いだけでGDPの3.5%に上った。利子の支払いは、ポルトガルがEUのEuropean Stability Mechanism(ESM)が課したプログラムの実施を終えれば、確実に増えるだろう。多分GDPの4.6%以上になると予想される。「ヨーロッパ安定化メカニズム(ESM)」は、ユーロ圏で政府債務危機が起こった場合、この基金から支払われる。それと同時に債務国は、ESMの緊縮条件にしたがわねばならない。  ポルトガル政府の債務の利子の支払い額が、経済成長率を上回ったときには、…

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スペインの銀行の債務危機の国有化

2014年3月31日北沢洋子 1.銀行の債務を政府債務に肩代わり  2013年、スペイン経済は悪化した。GDPは、年率1.3%までに減速した。失業率は26.4%を記録した。財政赤字はGDPの6.7%となり、政府債務はGDPの100%にのぼった。 スペインの経済危機は2012年にはじまった。それは、2003年以降の不動産バブルが崩壊したためであった。しかし、この危機が始まる前は、スペインの政府セクターは健全であった。例えば、国営企業は黒字で、政府債務もGDPの40%に留まっていた。しかし、民間セクターは危機にあり、当時すでに銀行の債務はGDPの400%に達していた。 不動産バブルが崩壊すると、民…

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ギリシャの政府債務危機のその後

2014年3月30日北沢洋子  金融危機により、『トロイカ』の融資を受けたギリシャの実情は、改革どころか、悪化の道をたどっている。 失業率は、27.8%、青年の失業率は57.9%にのぼる。 政府の債務は、GDPの170%に上る。危機が始まって以来、不動産の価値は32%も下っている。 ギリシャのユーロ圏からの離脱、すなわちGrexitの噂は依然として、広がっている。ちなみに、Grexit とは、ギリシャのGとExitを加えた造語である。そして、今年には、大きな社会不安が起こると予測される。にもかかわらず、EUのエリートたちは、のんきにギリシャがEUの議長国になったことを祝っている。 最近ギリシャ…

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イスタンブールの春

2014年3月26日北沢洋子 1.イスタンブールで史上最大の葬儀デモ  さる3月12日、イスタンブールで起こったデモは、トルコ史上、最大規模のデモとなった。これは、その前日に亡くなったバーキン・エルバン君(14歳)の葬儀デモであった。エルバン君は、昨年6月15日、家族のためにパンを買いに行った時、デモに遭遇した。1人の警官の催涙弾で頭を撃たれて以来、289日間、コンマ以下の状態が続いていた。したがって、彼の死は、イスタンブール警察の暴力を象徴するものだった。未だに警官の氏名はわかっていないし、警察は調査をしようとしない。 当日の葬儀は、正午、彼が亡くなった病院で始まった。葬儀の始まりに1分間の…

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シリア政府のおぞましい拷問の写真シリ-ズ

2014年02月1日北沢洋子 1.アサド政権の囚人大量虐殺の証拠写真が流失  スイスのモントルーでシリアの和平会議の開催直前の1月22日、カタールの衛星テレビ『アル・ジャジーラ』が、「アサド政権がこれまで3年間、1万1,000人を系統的に拷問し、死に至らしめた」と題して、一連の証拠写真を暴露した。 それは、すさまじい拷問の痕跡、えぐれた腹部、絞殺の跡、むち打ちなどの写真で、歴史的なナチのホロコーストのイメージと重なる。 『アル・ジャジーラ』は、「これは、シリア警察の写真師が国外に持ち出した5万5,000枚のデジタル写真の一部だ」と報じている。3年前に、アサド大統領の退陣を求める民主化デモがはじ…

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パキスタンの債務をモラトリアムに

2013年7月29日北沢洋子 パキスタンでは、今年5月、総選挙が行われて、第2次シャリフ政権が発足した。民主的に選ばれた新政権は、発足早々、財政危機に見舞われた。その最大の理由は、対外債務が急増したことと債務に付属しているIMFの厳しい条件にある。 パキスタンの債務総額は580億ドルに上り、2008年以降、2倍に急増した。その債務返済額は毎年60億ドルに上る。これは年間の輸出総額の20%を占める。そして、医療と教育予算額の50%である。 英国の「ジュビリー債務キャンペーン(JDC)」と「イスラム救済」が共同で調査した結果、パキスタンの債務には、正当性に問題があるとして、「直ちに返済を凍結し、返…

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世銀グループが土地収奪に融資

2013年7月11日北沢洋子 IFC(国際金融公社)は、世銀グループに属し、民間セクターの途上国投資に融資する機関である。この度、IFCは、カンボジア、ラオス、ホンデュラスなどでの民間企業による土地収奪に融資をしていることが、英国の「ジュビリー債務キャンペーン(JDC)」によって暴露された。 今年5月半ば、IFCは、ワシントンで、第4回「グローバル機関投資家会議(GOEC)」を開催した。この会議を主催した世銀のキム総裁は、機関投資家による途上国への投資を承認した。キム総裁は「機関投資家による新興国投資を促進すれば、貧困根絶と等分な繁栄を実現できるだろう」とのべた。 キム総裁は、金融資本による投…

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ブラジル政府がアフリカの債務を帳消しに

2013年7月11日北沢洋子 今年5月25日、ブラジル政府は、アフリカ12カ国の債務9億ドルを帳消しにするために、再交渉すると発表した。アフリカ12カ国とは、コンゴ(ブラザビル)、タンザニア、ザンビア、セネガル、象牙海岸、民主コンゴ、ガボン、ギニア、モーリタニア、サオトーメ・プリンシペ、スーダン、ギニア・ビサウなどである。ブラジルの憲法はこのような案件は上院の承認を必要としている。したがって、ルセフ大統領は上院に「大統領のメッセージ」の形で、この中の9カ国との債務についての再交渉の内容を伝えた。 「メッセージ」によれば、ブラジルが保有している債務の多くは、「輸出保険」によるものである。つまり、…

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「HIPCsイニシァティブ」の終了と最貧国の債務

2013年7月9日北沢洋子 1996年、前年コペンハーゲンで開かれた国連社会開発サミットの決議を受けて、IMF・世銀はHIPCsイニシャティブを発表した。これは、IMF・世銀が「重債務貧困国」と認定した国42カ国に対して、3年間忠実に「構造調整プログラム」を実施し、さらに3年後に完了点に達した場合のみ、「持続可能な債務(?)」を差し引いた分を帳消しにする、というスキームであった。しかし、HIPCsイニシャティブは、少なくとも6年間待たねばならず、最貧国にとっては、重圧であった。その結果、2000年に至るまで、HIPCsイニシャティブは1カ国も実施されなかった。 2000年のJubilee 20…

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ユーロ危機とIMFの役割

2013年4月29日北沢洋子 1.ヨーロッパの債務危機がIMFを救済 一時期、IMFは存亡の危機にあった。なぜなら、07年頃、ブラジル、アルゼンチン、トルコ、ロシアなど大口借り手だった国が、IMFの債務を前倒しして、全額返済したからだ。また、IMFへの最貧国の重債務は、ジュビリー2000の国際キャンペーンの結果、キャンセルしてしまった。 IMFは債務危機に陥った途上国に“救済”融資をすることによって、悪名高い「構造調整プログラム(SAP)」を押し付ける。実は、これはBail Out(救済融資)ではなく、IMFの加盟国が自分の引き出し権を行使するのだが。 実際は、IMFは約束した救済融資を一度に…

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途上国は金融犯罪で毎年1兆ドルを失っている

2013年1月1日北沢洋子  ワシントンにあるNGOのシンクタンク「国際政策センター(IPC)」の「グローバル金融インテグリティ(GFI)チーム」は、昨年12月17日、『途上国からの不正な資本流出の調査(2001~2010)』と題する報告書を発表した。「途上国は、2010年の1年間で、1兆ドルを失った。それは、腐敗、脱税などの手段、それに現金取引での流出などがその理由である」と述べた。 IPCはこの調査に約6年間を費やしてきた。その結果、グローバルな金融資本の不正行為は、政府やNGOの努力にもかかわらず、過去10年間、増加し続けた。  IPCは、IMFや世銀の資料を駆使して、途上国は、金融資本…

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アルゼンチンに対するはげたかファンド

2012年12月北沢洋子 さる10月2日以来、アルゼンチン海軍のフリゲート艦「リバティ」号がアフリカのガーナの港で差し押さえられた。 これは、その前日、ニューヨーク州裁判所の判事が、「アルゼンチンは、現在の国債の所有者であるはげたかファンドに額面通り全額支払え」という判決を下したことに基づく行為であった。さらに、判決はアルゼンチンが2005年と2010年に「構造調整を行ったことに関係ない」となっていた。 これはひどい判決だ。この判決は、世界の注目を浴びた。なぜなら「債務と構造調整」については、今日では、南も北も関係なく訪れる問題だからだ。 12月15日に次の利子の支払いをしないならば、アルゼン…

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英国政府が「不法な債務」を公表

2012年12月13日北沢洋子 11月5日、英国政府は、ジュビリー債務キャンペーン(JDC)の要請に対して、英国が持っている途上国の債務の明細を情報公開した。 英国が持っている途上国に対する債務は、主として英国企業が輸出した場合、「輸出金融(UKEF)」」につけを回し、英国政府の債権になってきた。 アルゼンチンの債務の38%は、軍事物資に輸出の対するローンエクアドルの債務の56%は、軍事物資の輸出に対するローンエジプトの債務の23%は、軍事物資の輸出に対するローンインドネシアの債務の74%は、軍事物資の輸出に対するローンケニアの債務の70%は、電力部門に対するローン、例えば、「白い巨象」と呼ば…

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エジプトのIMFローン

2012年12月4日北沢洋子 1.エジプト政府のIMF融資についての言い分 11月26日、エジプト政府は、「アラブの春」以来2年間に及んだIMFとの交渉の末、融資受け入れに合意した。IMF側は理事会が承認し、エジプト側は、大統領の署名と批准で発効した。エジプトでは、数ヵ月前に議会が解散されたので、大統領に行政権と立法権が集中している。 大統領は、IMFのローンによって、財政危機と金融危機を解決できると考えている。実際、エジプトは、前期の会計年度には財政赤字がGDPの11%に上り、今年度は13%に達すると予想される。 さらにエジプト経済は、貿易赤字と、巨額の資本の海外逃避と、外国資本の投資が伸び…

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IFCの鉱山開発融資について

2012年10月12日北沢洋子  世銀グループの中に途上国に投資する民間企業に融資する「国際金融公社(IFC)」がある。最近、IFCは、途上国で紛争となっている民間企業のプロジェクトに融資をしていることが問題となっている。 1.南アフリカのプラチナ鉱山に対するIFCの融資  今年8月、南アフリカのMarikanaプラチナ鉱山で、激しいストが起こった。この鉱山は、ロンドンに本拠を置くLonmin社が開発した。そして、2007年にIFCから1億ドルの開発融資と、5,000万ドルの資本参加を受けた。 この鉱山では、昨年来、鉱山労働者が賃上げと労働条件の改善を要求してストを始めた。そして、今年8月半ば…

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スリランカの債務とIMF

2012年10月8日北沢洋子  1983年に始まったスリランカの内戦は、4半世紀に亘った。2009年、反乱派「タミールイーラム解放のトラ(LTTE)」に対して政府軍が武力で敗退させて終わった。それゆえ、スリランカは最新のポスト内戦国として、債務の帳消し、開発援助など国際社会の援助の手が差し伸べられる筈だ。  しかし、スリランカの場合は違う。スリランカの対外債務は、2000年~2012年間に2倍になった。債務総額は180億ドル(2兆3,750LKR)である。これを経済の規模に対する比率を見ると、スリランカの2011年のGDPは、600億ドルであった。  外国からの借り入れが増えるにつれて、当然の…

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途上国では民間債務が増大

2012年10月7日北沢洋子  最貧国の公的債務を帳消しにする「ジュビリー2000」の国際キャンペーンから12年経った。これは成功した。しかし、現在、途上国は、持続可能でない民間債務の重圧に苦しんでいる。これは、急速に増大している。  債務帳消しとグローバルな金融市場の透明性をキャンペーンしている英国のJubilee Debt Campaign の報告書によると、最貧国では、民間セクターの債務の返済は、2000年には輸出額の4%であったが、2010年には10%に増えた、という。 エチオピア、ニジェール、モザンビークなどの最貧国は、債務帳消しが実施された2000年以前に等しい債務の返済を行ってい…

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暴露された英国の債務

2012年3月9日北沢洋子   英国の「ジュビリー債務キャンペーン(JDC)」が「英国輸出保険保証省(ECGD)」に対してキャンペーンを開始して以来、6ヵ月が過ぎた。これまでのところ、途上国に対するECGDにある債務は、英国の武器輸出や、でたらめな輸出によって作り出された債務であることが判明した。  ODAや世銀の融資の場合は、情報がある程度、公開されているが、輸出保険の場合は民間企業の商行為になっているため、議会に対する定期的な報告もなく、実態がつかめ難い。通常、民間企業が、途上国にモノを売る際、政府の輸出保険を掛ける。企業としては、途上国政府から回収するのではなく、自国政府の保険から取り立…

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エジプトの債務

2012年03月05日北沢洋子   英国の「ジュビリー債務キャンペーン(JDC)」によれば、英国政府のVince Cable長官の「ビジネス革新、技術省(ECGO)」は、エジプトに対して、ムバラク時代に発生した1億ドルの負債の支払いを請求しているという。  ECGOは、あだ名を「あやしげな取引省といわれるが、輸出保健の形で、武器、航空機、化石燃料などを輸出する省である。ECGOの言い分はエジプトの場合、英国のローンがどこに、どのように使われたかを調べることが出来ないというのを理由にしている。      しかしJDCが国立古文所を調査したところ、埋もれた資料を発見した。そして、1970~80年代…

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ジンバブエの債務

2012年3月5日北沢洋子   ジンバブエのジンバブエ債務と開発連合(ZCDD)は、700億ドルにのぼる膨大な対外債務の監査を要求している。そのことによって過去の失敗を繰り返さないためである。  ジンバブエだは、首都ハラレに見られるように、スーパーで買い物をするとき、ドル紙幣で支払わねばならない。  ジンバブエの経済は安定化している。2009年以来、米ドルが公式に通貨になった。政府は、紙幣を増し刷りして、超インヅレと不況を脱することができた、ライバルの与党と野党が連立政権となったため、3年もの間、内戦は休止状態にある。  ハラレには、何でもある。交通信号、銀行、店、広告、新聞売り、そして、格差…

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米GAOの監査はFRBによる16兆ドルの銀行救済融資を暴く

2011年9月北沢洋子  米国の「政府監査院(GAO)」は、独立した機関であり、議会の中に置かれ、議会の要請にもとづいて、連邦政府の税金の使途を監査し、その結果を議会に報告する。私は、ジュビリー・キャンペーンの時、GAOから「日本の債務帳消しについての資料を欲しい」というメールを送られたことがある。  これまで、数ヵ月にわたって、GAOが、「Ron Paul-Allan Grayson修正法」にもとづいて、日銀に相当する「米連邦制度理事会(FRB)」の監査を行なってきた。Ron Paul-Allan Grayson 修正法とは、2010年7月に採択された、「ウオール街の改革と消費者保護を目指す…

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なぜ東チモールは債務国にならねばならないか?

2011年9月北沢洋子 1.東チモールNGOの反債務声明  11年9月、東チモールのNGO「反債務運動(La’o Hamutuk)」と米国に本拠を置く「東チモール・インドネシア行動ネットワーク(ETAN)」は、共同で「東チモールは外国からローンを受けるな」という声明を出した。La’o Hamutuk は「債務は、東チモールの将来を危なくする」と説明した。 実は、09年の末頃から、東チモール政府が、いくつかの外国の政府や国際金融機関から融資を受けるために、法律を制定し、同時に交渉をはじめていた。その結果、今年には、融資が実現しそうだ。しかし、これは大きなリスクを伴う。 これまで、途上国、とくに最…

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英国の「はげたかファンド」規制

2011年8月北沢洋子  イギリス海峡に浮かぶチャネル諸島は、王室属領という名で、英国領になっている。島々には、それぞれ政府と議会があり、自治領になっている。 このような地位を利用して、チャネル諸島は、金融資本のタックス・ヘブンや、「はげたかファンド」の天国になってきた。「はげたかファンド」とは、途上国政府の公的債務を簿価よりはるかに安く買い叩いて取得し、それを、金融資本の規制がない国や都市レベルの裁判所に訴え、債務の簿価全額を途上国政府に返済させるというまさに「はげたか」である。通常「はげたかファンド」は、最貧国政府で公的債務の帳消しを受けた国を狙う。最貧国政府が持っている私的債務を買い叩く…

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南スーダンの独立と債務

2011年8月北沢洋子 1.南スーダンの独立  今年7月9日、南スーダン共和国が誕生した。アフリカ大陸の54番目の国になった。首都はジュバである。人口800万人、東アフリカの内陸国で、「白ナイル川(Bahir al Jebel)」によって作られた広大なSudd湿地がある。 これまでスーダンは、1956年の独立以後、半世紀以上、南北間で内戦を続けてきた。約190万人が死亡、400万人が家を追われた。第2次大戦以後の戦争の中で最も犠牲多かった。 やっと、2005年、」「国連、英国、ノルウエーのトリオ」「アフリカ連合ハイレベル実施パネル(AUHIP)」などの仲裁で、南北間の「包括的和平条約」が締結さ…

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IMFが内戦終了後のコートジボアールに融資

2011年8月北沢洋子 1. 大統領選以後の内戦 2010年10月31日に大統領選挙が行なわれ、ワタラ野党候補が勝利した。しかし、現職のバグボ候補はこれを認めず、首都アビジャンに2人の大統領が出現することになった。国連、アフリカ連合(AU)、西アフリカ経済共同体(ECOWAS)、EUなどがワタラ大統領を認めた。今年4月4日、ついに国連PKOが派遣された。4月11日、すでに派兵されていたフランス軍がバグボを逮捕して、内戦は終了した。 2. コートジボアールの債務  2010年7月18日、IMFはコートジボアールに対して新規の融資を決定した。つまり、コートジボアールは、この新規の融資は旧い債務の返…

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「アラブの春」後のエジプトとIMF

2011年8月北沢洋子 1. エジプトの対外債務の歴史と現状 現在、エジプトの対外債務は、344億ドルである。毎年の返済額は、25億ドルである。これはGDPの2.8%にのぼる。一方、政府の保険衛生予算はGDPの2.4%に過ぎない。エジプトのGDP総額は、894億ドルである。エジプトの主な輸出品は綿花と石油など一次産品である。 エジプトの債務の歴史は、1800年代、モハメド・アリ国王の時代に遡る。国王は、役に立たない、巨大なプロジェクトのために、外国から借金をした。しかし、これらプロジェクトが完成することはなかった。債務を返済できないために、エジプトの債務はどんどん膨らんでいった。エジプトが借り…

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IMF改革について

2011年8月北沢洋子 1. IMFの理事数をめぐる米欧の戦い 昨年10月、IMFは、ガバナンス改革案を発表した。到底改革と呼べる代物でなかった。これは、注目を集めていた改革案であったため、失望は大きかった。 なぜなら、結局、ヨーロッパの理事の席をめぐって、米・ヨーロッパ間の持久戦となってしまったからである。加盟国の投票権、専務理事の選出法などの改革といったIMFの重要事項は先送りになってしまった。その結果、先進国がIMFの投票権の3分の2を独占するという事態は、これからも、続くことになった。 IMFの理事の任期は、昨年10月末に切れることになっていた。これは、議席の改革にとってチャンスであっ…

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ギリシアの債務問題の真実

2011年8月北沢洋子 1.EU、IMFがギリシアに1,090億ユーロを追加融資  今年7月21日、ブリュッセルで開かれた「のユーロ圏17カ国」はギリシアに対して、1,090億ユーロの追加融資に合意した。この追加融資は、「ヨーロッパ金融安定化基金(EPSF)」とIMFが協調して実施することになる。追加融資分は、これまでの融資より低利とし、さらに返還期限も、これまでの7.5年から最長30年に延長された。 さらに、ギリシア国債を保有する銀行に対して、“自主的に”より長い期間のギリシア国債に再投資する、あるいは国債を市場で売らずに、EPSFの買戻しに応じることが“期待”された。この分は500億ユーロ…

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ヨーロッパの債務危機と第三世

2011年1月北沢洋子 英国の「ジュビリー債務キャンペーン(JDC)」の文書から 1.途上国の債務危機とヨーロッパの債務危機  今日、ヨーロッパの政府は債務危機にある。これは、まず銀行が野放図な融資をして巨額の債務を出した。これを政府が公的資金でもって救済した。そしてこの債務は、関係のない一般市民が強制的に支払わせられている。 その後、金融市場は、規制を受けることなく、政府を非安定化し続けている。ギリシア、続いてアイルランド政府が緊縮財政政策を施行し、教育、医療、社会保障、雇用に大きなダメージを与えている。 このようなパターンは、これまで途上国では、通常的なことであった。1970年代、先進国の…

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IMFがバングラデシュに10億ドルの融資

北沢洋子2010年9月19日   バングラデシュの英文日刊紙『デイリー・スター』は9月7日、2~3ヵ月中にIMFから10億ドルのソフト・ローン(無利子、長期返済)を受取ることになった、と報道した。これはバングラデシュ政府が、今年はじめに、新たな「貧困削減戦略II」を開始したことによる。  これは、IMFの代表団がバングラデシュを訪問し、AMA Muhith大蔵大臣との会見後、発表された。今回のIMFの代表団はAnoop Sunghアジア太平洋局長を団長とし、David Cower IMFミッション長、Eteri Kvintrade現地駐在員という構成であった。  会見後の記者会見で、バングラデ…

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世銀が南アフリカESCOM火力発電所に融資

2010年8月31日北沢洋子  今年4月8日、世銀の理事会は、南アフリカの準国営電力会社ESCOM社のMedupiに石炭火力発電所6基の建設プロジェクトに、37億5,000万ドルの融資を承認した。しかし、米国、オランダ、英国はこのプロジェクトを支持していないという。 4,800メガワットのMedupi 発電所本体の建設費は、30億5,000万ドルで世界第4位の規模となる。 米国、ヨーロッパ、南アフリカの市民社会はこれに対して国際的な抗議キャンペーンを展開している。200の国際ネットワーク、65の南アフリカの社会、環境団体が世銀宛に署名している。 1.世銀融資は経済を圧迫する   世銀の巨額の融…

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ハンガリア首相がIMFに「ノー」

2010年8月30日北沢洋子  ハンガリアは、人口1,000万の旧東欧の一国で、EUに加盟している。そのハンガリアでは、今年4月の総選挙で、ビクトール・オルバン(Viktor Orban)が率いる保守派の「ハンガリア市民運動(FIDESZ)が、議席の3分の2を上回る多数を獲得し、オルバンは首相になった。これは、共産党支配以後のハンガリアの歴史では、画期的な出来事であった。 これまでにない圧倒的な政治権力を得たオルバン首相は、IMFの新規融資の提案に対して「ノー」と応えた。2008年、IMFにより協力的であった前社会主義政党時代に受けた200億ユーロの融資の延長交渉中であった。 そもそもオルバン…

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「10月14~21日をグローバル債務ウィーク」

2010年8月14日北沢洋子  EURODADは、10月14日~21日の1週間を「グローバル債務デー」として、IMF・世銀など国際金融機関と債務問題に取り組む行動週間とすることを呼びかけた。  その中の一環として、10月15日、オランダのハーグで「世銀を裁く国際法廷」の開催が企画されている。 国際法廷のキャンペーンは、今年3月、ヨーロッパのNGOの連合が集まって、それぞれの政府に対して、IDAへの拠出金問題をテコにして、世銀の「条件」や「化石燃料開発への融資」などについて政策を変更させるよう圧力をかけることを要求したことに始まる。 したがって、法廷のテーマも、世銀が途上国に押し付けてきた「構造…

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WTO交渉は終わりなきデッドロックに

2010年5月9日  ジュネーブから、「サウスセンター」のMartin Khor事務局長が「WTOの終焉」という題で文書が送られてきた。以下はその抄訳である。  WTOの「ドーハ・ラウンド(交渉)」は最大のデッドロックに嵌ってしまったようだ。行く手には何の明かりも見えず、将来交渉が成立する見通しはほとんどない。 さる3月の最後の週に、ジュネーブのWTO本部で開かれた「棚卸し作業」と呼ばれる最後の交渉は、何の方向付けもなく、今後、閣僚や高官レベルの会議が開催されるという日程もなくて終わった。まして、今年末までに交渉を終えるという「目標」を口にする人もいない。それはとっくに諦めていた。 「ドーハ・…

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民主コンゴが「完了点」に達した?

2010年4月30日北沢洋子  ブルッセルからの情報によれば、コンゴ民主共和国(旧ザイール)がIMFのHIPCsイニシアティブの「完了点」に達したということである。しかし、最終的な決定は、IMFに委ねられている。、 3月はじめ、IMFは民主コンゴに使節団を派遣し、「拡大クレジット基金(貧困削減グローバル基金を改名)」が実施されているか査察を行なった。審査結果は総じて「ポジティブ」であった。しかし、政府の調達、はげたかファンド、ドナーたちを平等に扱う、などといった問題や疑問は残っている。しかし、民主コンゴが今年中に「完了点」に達することは間違いない。 上記の疑問については、今年4月末に再び使節団…

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IMFは救済融資の回収のための課税を提案

2010年4月30日北沢洋子  2008年、米国のサブプライムローンの破産によって引き起こされたグローバルな金融危機の際、米国、ヨーロッパ、日本、中国などは、財政出動して巨額の救済融資を金融機関に行なった。これは、なぜ政府は大銀行だけを救済するのかという素朴な疑問が人びとの間に起こり、米国などでは、「No Bailout Banks, Bailout People」と言うスローガンでもって、抗議デモが繰り広げられた。 同時に、危機の原因は金融資本による過度のスペキュレーションによるものであるとして、これを規制するには、「金融取引税(FTT」を課すべきだというキャンペーンも広まっていた。 このよ…

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IMFの新たな支配領域はヨーロッパ?

2010年4月30日北沢洋子 1.ハイチの債務を直ちに帳消しに  昨年、2009年6月、ハイチはIMF・世銀の「重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ」により「完了点」に達した。これは、IMF・世銀の構造調整プログラムを忠実に6年間にわたって実行してきたことを意味する。そこで、IMF・世銀は総額12億ドルの債務削減を行なった。しかし、これは債務総額19億ドルの3分の2に留まった。なぜなら2004年以前の債務しか削減されなかったためである。19億ドルの中には、米州開発銀行(IADB)の5億1,100万ドルが入っていた。 そして、その1ヵ月後、昨年7月に開かれたパリクラブ会議では、カナダ、ベルギー…

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米議会ハイチに対する債務救済案を採択

2010年4月30日北沢洋子  さる4月14日、米下院は、ハイチの債務を救済するという動議を採択した。これは、1月12日の地震によって、破壊された国の復興を助けるためと言うことで、全員一致で採択された。その後、ホワイトハウスに送られ、大統領の署名をもって法律は発効する。 この米議会の措置は、IMFや他の国際的債権者たちにも影響を与えるだろう。とくに、ハイチの対外債務を救済した後、将来、ハイチにローンでなく、贈与の形で援助するべきだとする点である。 「ハイチ復興法」と名づけられたこの法律は、オバマ政権が、ハイチの復興、とくに電気、道路、水道、下水道、森林回復といったインフラに投資するための「国際…

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ハイチの債務救済について

2010年4月14日北沢洋子 1.ハイチの債務を直ちに帳消しに  昨年、2009年6月、ハイチはIMF・世銀の「重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ」により「完了点」に達した。これは、IMF・世銀の構造調整プログラムを忠実に6年間にわたって実行してきたことを意味する。そこで、IMF・世銀は総額12億ドルの債務削減を行なった。しかし、これは債務総額19億ドルの3分の2に留まった。なぜなら2004年以前の債務しか削減されなかったためである。19億ドルの中には、米州開発銀行(IADB)の5億1,100万ドルが入っていた。 そして、その1ヵ月後、昨年7月に開かれたパリクラブ会議では、カナダ、ベルギー…

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「新しい債務危機の発生」

2009年4月14日北沢洋子 1.ザンビアザンビアはすでに債務帳消しを受けた最貧国である。しかし、現在対輸出債務率は300%に達している。この数字はIMF、世銀による持続可能な債務の2倍を超えている。主要な輸出品である銅が値下がりをしているせいである。 2.フィリピン フィリピンは来年に期限が来る短期の債務が80億ドルに達した。しかし、フィリピンは銀行の貸し渋りにより、この債務の再融資を受けることができない。 3.バングラデシュ この国はヨーロッパと米国への繊維の縫製品の輸出に依存している。需要が大幅に減退しているので、対輸出債務率は170%に上っている。これはIMF、世銀の狭義の持続可能な債…

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スリランカの債務の罠

2009年3月22日北沢洋子 1.スリランカの債務の罠        2年前、スリランカはIMFと手を切ったため、IMFはコロンボの事務所を閉鎖した。スリランカはまた、国連開発計画(UNDP)の人間開発指標では、非常に高い評価を受けている。にもかかわらず、今年3月11日、スリランカ政府はIMFに対して、19億ドルの救済融資を申し入れた。 今回、輸入が輸出を上回り、外貨準備が、3ヵ月の輸入平均を下回った。つまり、外貨が底をついたのであった。 スリランカの危機は、(1)輸出からの収入が減り、その結果、中央銀行は、現地通貨であるルピーがドルに対して下がるのを食い止めることが出来ない。(2)タミール分…

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スリランカの債務の罠

2009年3月22日北沢洋子 1.スリランカの債務の罠 2年前、スリランカはIMFと手を切ったため、IMFはコロンボの事務所を閉鎖した。スリランカはまた、国連開発計画(UNDP)の人間開発指標では、非常に高い評価を受けている。 にもかかわらず、今年3月11日、スリランカ政府はIMFに対して、19億ドルの救済融資を申し入れた。 今回、輸入が輸出を上回り、外貨準備が、3ヵ月の輸入平均を下回った。つまり、外貨が底をついたのであった。 スリランカの危機は、(1)輸出からの収入が減り、その結果、中央銀行は、現地通貨であるルピーがドルに対して下がるのを食い止めることが出来ない。(2)タミール分離主義者との…

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ノルウエイ政府ファンドとインドの少数民族

2008年12月15日北沢洋子  07年12月17日付けの『インターナショウナルヘラルドトリビューン』紙によると、ノルウエイ政府のいわゆるソベリンウエルスファンド「Government Pension Fund- Global」がインドのVedanta Resource社の投資から撤退したことを報じた。 それは、07年11月19日、ニューデリーのノルウエイ大使館に、インドの山岳民族の一行が訪問したことに始まる。伝統的な民族衣装をまとった彼らは、Dongria Kondhグループに属し、はるばるオリッサ州のNiyamgiri丘陵から、ノルウエイ政府に、彼らの土地に投資している英国の金属工業Ved…

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エクアドル不法債務不履行を宣言

2008年12月14日北沢洋子 1. エクアドル債務不履行を宣言  12月12日、エクアドルのコレア大統領は、記者会見をして、週明け12月15日に期限がくる国債(グローバル債)の約3,060万ドルの利子支払いを停止し、債務不履行を決定したと発表した。過去に発行された国債に違法がある、つまり「Illegitimate Debt(不法債務)」であると言った。  エクアドルは、2007年1月、コレア左翼政権の誕生以後、不法な債務問題に取り組んできた。07年7月には、「公的債務総合監査委員会(CAIC)」を発足させた。これには内外の債務の専門家、NGOを参加させた。 08年11月14日、Maria E…

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南アフリカ黒人のアパルトヘイト賠償訴訟

2008年8月2日北沢洋子  米国には、20年以上も前から、Alien Tort Claims Act(外国人不法行為賠償法)」という法律がある。これまで米国の法廷にこれを援用した訴訟が100件余り起こっている。  まず、パラグアイで、拷問の被害者の訴訟からはじまった。そして、2003年、ついにビルマ(ミャンマー)の村民が米石油会社UNOCALを相手取り、ブッシュ政権に対する裁判に勝利して以来、この件の訴訟は頻繁になされてきた。 さる7月8日、ニューヨーク南地区法廷のJohn Sprizzo判事の元に、南アフリカ黒人がアパルトヘイト時代に南アフリカに投資していた米多国籍企業に対して4億ドルの賠…

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中国のアフリカ援助の問題点

2008年2月12日北沢洋子   ノルウエイの債務帳消しのNGOであるSLUGは以下のようなレポートを発表した。 「アフリカにおける中国:融資政策とガバナンス」  アフリカに対する中国の開発融資が増大している。中国の融資は、アフリカが必要としているインフラ建設などに集中しており、一般的には、歓迎されるべきである。 しかし、中国の開発融資の問題点はそれが、すでに大きな債務を抱えている国である場合である。 この場合、融資自体に問題であるのではない。中国の開発融資は資源の豊かな国に集中しているからである。問題は、融資契約の内容は議会、メディア、市民社会に公表されず、そのプロセスに透明性を欠くことであ…

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タジキスタンの経済は破産

2008年5月21日北沢洋子  最近、IMF、世銀が重債務貧困国に加えた旧ソ連の中央アジア共和国の1つであるタジキスタンは、1997年に終わった内戦以来、最も厳しい経済危機にある。そして、これが社会危機を誘発している。 すでに中央アジアの中でタジキスタンは最も貧しい国で、しかも民主化が最も遅れている国あったが、厳冬と政府の重債務がさらに状況を悪化させた。 タジキスタンは綿花の産出国である。社会主義時代は国営部門であった綿花産業は、IMFの民営化、自由化政策によって、2003年、赤字だらけの国営銀行Agroinvestを民営化して、新たに民間会社Creditinvest社が設立された。最近、この…

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アフガニスタン援助の国際公約は100億ドル未払い

2008年5月21日北沢洋子  最近、IMF、世銀が重債務貧困国に加えた旧ソ連の中央アジア共和国の1つであるタジキスタンは、1997年に終わった内戦以来、最も厳しい経済危機にある。そして、これが社会危機を誘発している。 すでに中央アジアの中でタジキスタンは最も貧しい国で、しかも民主化が最も遅れている国あったが、厳冬と政府の重債務がさらに状況を悪化させた。 タジキスタンは綿花の産出国である。社会主義時代は国営部門であった綿花産業は、IMFの民営化、自由化政策によって、2003年、赤字だらけの国営銀行Agroinvestを民営化して、新たに民間会社Creditinvest社が設立された。最近、この…

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イタリアのエチオピアでのダム援助スキャンダル

2008年4月1日北沢洋子  イタリアのSALINI社は、ダム建設を専門とするゼネコンだが、すでにこれまでウガンダのBujagaliダム建設、シエラレオネのBumbunaダム建設などをめぐってスキャンダル事件を起こしてきた。 今回、イタリア政府が援助するエチオピア最大のインフラ建設計画であるGilgel Gibe IIダム建設をめぐって、新たに超ひも付き援助という疑惑が出てきた。援助費用は、いかがわしいローン契約になっとり、受注方法も一般受注方法をとらなかった。 イタリアには日本の日本国際協力銀行(JBIC)に似た「イタリア開発リボルビング基金」 という政府系海外援助融資機関があるが、2006…

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ガンビアの1億4,000万ドルの債務帳消し

2008年2月26日北沢洋子  ガンビアは、昨年12月21日、IMF、世銀、アフリカ開銀などの国際金融機関との間でHIPCsイニシアティブをめぐる7年間もの長い交渉が終わり、1億4,000万ドルの債務帳消しを受けることが出来た。これは、債務総額の27.7%に当たる。 さらに05年のグレンーグルスでのG8サミット合意をもとにIMF、世銀が始めた「多国間債務救済イニシアティブによって、残りの5億1,400万ドルが帳消しになる見通しである。 債務救済によって浮く政府予算は、医療、教育、その他基本的な公共サービス部門に投資されることによって、この国が抱えている貧困の解決に使われる。 貧困はガンビアの国…

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「コンディショナリティ」をめぐる議論

2008年2月15日北沢洋子  2007年7月、ジュネーブで、国連の経済社会理事会(ECOSOC)は、ミレニアム開発ゴール(MDGs)の実現のための国連の機関として、UN開発協力フォーラムを立ち上げた。そして、ハイレベル(首脳あるいは閣僚級)会議を2年ごとに開くことになった。 その第1回会議は2008年7月、ニューヨークで開催することになった。そのための準備会議が今年の1月19-20日、カイロで開催された。これには、政府代表、国連機関、それに少数だがNGOが参加した。 第1回国連開発協力フォーラムは、今年9月、アクラで開催される。カイロの準備会議では、もっぱら「援助の効果」について議論された。…

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トーゴの債務帳消し

2008年月2日北沢洋子 1)トーゴの債務帳消し  7月12日、パリクラブはトーゴの債務3億4,700万ドルを帳消しにすることを決定した。同時に、残りの債務について、2011年まで返済をモラトリアム(猶予)することにした。 パリクラブとは、途上国の債務の中で2国間分を処理する債権国のクラブである。パリクラブ側はトーゴの債務返済をモラトリアムにした「主な理由は食糧危機である」と言っている。 2)ハイチの債務を帳消しせよ  ERODADなどヨーロッパのNGO40団体が、7月15~17日に開催されたEU議会開発委員会とEU開発相に対して、「ハイチの債務帳消し」を要求した。 これは、先にスイス政府がハ…

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ベルギー上院がはげたかファンド禁止法を採択

2008年2月10日北沢洋子  08年1月31日、ベルギー上院は「はげたかファンドの活動から開発協力と債務救済を守る決議と法」を満場一致で採択した。この決議と法案はリベラル党の上院議員によって提出された。 一般的には、ベルギーでは、リベラル派は国家の役割を出来るだけ小さくすること、自由化と自由競争のモデルを推進する立場にある。にもかかわらず、上記のような「はげたかファンド」を規制する決議文と法案がリベラル派から提出されたのは画期的なことである。 というのは、はげたかファンドの問題が、2007年中、上院の外務と防衛委員会において議論や多くの公聴会が行なわれてきた成果であった。とくに公聴会には「1…

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「責任のある融資憲章」の策定について

2008年1月13日北沢洋子   昨年6月のハイリンゲンダムG8サミットで議論されたテーマの1つに、「責任のある融資憲章(Charter of Responsible Lending)の策定があった。 昨年11月17~18日、南アフリカのケープタウンで、と主要途上国G20の蔵相会議が開かれた際に、G20の議長である南アフリカのManual蔵相に対して、EURODADをはじめとした債務帳消しの市民社会組織が、以下のような要請文を提出した。 (1)、これまでの債務帳消しキャンペーンを通じて、貸し手の責任を強く感じられた。 それゆえ、「責任のある融資憲章」のような国際敵な取り決めが不可欠であると考え…

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HIPCイニシアティブの実施状況

2008年1月3日北沢洋子   世銀は、昨年末、重債務貧困国(HIPCs)イニシアティブ(96年発足)、多国間債務救済(MDRI)イニシアティブ(2006年発足)による債務帳消しの実態についての報告書を発表した。その内容は、以下の通り。 2つのイニシアティブによって債務帳消しを受けた国は31カ国、それに加えて、今後10カ国が潜在的に債務帳消しの対象となる。 2006年末で、すべての債権者が帳消しに参加したとして、31カ国の債務帳消しの総額は、実体額で690億ドルに上る。うち、世銀の帳消し分は、260億ドルである。HIPCイニシアティブによる帳消し額は110億ドル、MDRIによるものは150億ド…

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IMFはアイデンティティの危機に直面

2008年1月3日北沢洋子  2007年9月29-30日付けの「」ヘラルドトリビューン』紙によると、「IMFは長い間、グローバルな金融制度の守護神を自称し、10年前までは、ラテンアメリカ、ロシア、そしてアジアを襲った金融市場の崩壊に際しては、最後の融資機関としてふるまってきたが、今日では、IMFは重大なアイデンティティ危機にみまわれている」という。 1990年代、IMFが救済した国ぐにの多くは、すでに債務を返済し終わった。そのために、IMFの融資額が縮小するにつれて、これまで途上国政府の指南役を勤めてきたIMF自身が運用資金難に陥ったばかりでなく、赤字経営になってしまった。 現在では、スタッフ…

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インドネシアとドイツの債務と医療保健スワップ

2008年1月3日北沢洋子  昨年4月、国連の「エイズ・結核・マラリア撲滅グローバル基金(グローバル基金)」理事会は、インドネシア、ケニア、パキスタン、ペルーの4カ国について「債務と医療保健スワップ・プログラム(Debt2Health)」の2年間実施パイロット計画を決定した。 これにもとづいて、昨年9月、ベルリンで開かれたグローバル基金のドナー会議開会式で、インドネシアとドイツの間で最初のDebt2Healthプログラムが発足した。ドイツのHeidemarie Wieczorek-Zeul開発相、グローバル基金のDr. Michel Kazatchkine所長、インドネシアのMakmurWid…

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先進国政府と世銀は化石燃料開発へのODAや融資をやめろ

2008年1月3日北沢洋子  昨年7月、環境NGOの「石油変革インターナショナル」の提案で、先進国政府と世銀に対して、国際石油会社の投資を助成につながる開発援助や融資を止めように要求する署名運動が行われた。 これには多くの環境団体、国際金融機関に対するアドボカシイNGOなどが多数賛同した。 途上国の貧困根絶に使われるはずのODAや世銀融資は、しばしば、国際石油会社の助成金に化けている。これは、貧しい国では紛争の激化や貧困の増大をもたらし、石油に対する依存度を悪化させ、さらには、地球温暖化をもたらしている。 2003年末、世銀自身が行った「地下資源開発産業調査報告」によると、石油への援助を止める…

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盗まれた国家資産の回復

2008年1月3日北沢洋子  2007年9月19日付けの『ヘラルドトリビューン』紙によると、国連の潘事務総長と世銀のゼーリック総裁は、途上国政府が腐敗した政治指導者が盗み海外に送った資金を回収するのを援助するプログラムを発表した。そのために、「不正蓄財回収機構(StAR)」が新設される。 途上国での盗まれた資産の総額は年間400億ドルに達すると予想される。これは、年間ODA総額に等しい額である。 「貧しい人びとから盗む奴には安全な天国はない」とゼーリック総裁は宣言した。世銀によれば、犯罪、腐敗、脱税などによる国境を越えたグローバルな資金の流れは、毎年、1~1.6兆ドルに上る。その中で、秘密の銀…

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債務帳消しに群がるはげたかファンド

2008年1月3日北沢洋子  2007年末、重債務貧困国(HIPCs)41カ国のなかで、24カ国が債務帳消しを受けた。そのなかの11カ国が、「はげたかファンド」の餌食となったことがIMF・世銀の調査によって明らかになった。 はげたかファンドとは、2国間、多国間の公的債務が100%帳消しになった貧困国政府の民間債務を、債権者である民間銀行から叩いて安く買い、新しい債権者として、この債務の返済を、ロンドンやブルッセルの金融法廷に提訴して、債務の名目価格で債務国から返済させる、という悪辣なファンドのことである。 はげたかファンドの訴訟はすでに半分くらいの件数で勝利している。彼らが債務国政府から手に入…

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世銀IDA拠出金と条件廃止

2008年1月3日北沢洋子 1.第15次IDA拠出金ドナー会議  2007年12月はじめ、ベルリンで世銀の第15次IDA拠出金(IDA-15)についてのドナー国会議が開かれた。IDAは低開発国に対して無利子の長期融資を行う世銀グループの機関であり、先進国(ドナーたち)が贈与の形でIDAに拠出した資金を融資に充当している。 ベルリン会議ではドナーたちは、2008年6月から始まる3年間に新たに251億ドルを拠出することを約束した。 これによってIDA―15の資金総額は416億ドルとなる。これは前期のIDA―14が321億ドルであったのに比べて95億ドルの増加になった。今回ドナー国が約束した拠出金は…

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途上国から見た金融危機とその処方箋

はじめに  昨年10月15~17日、メキシコシティにある国立メキシコ自治大学の経済研究所で「ブレトンウッズ体制を超えて―新しい多角的金融経済秩序を探る」と題したセミナーが開かれた。 このセミナーを企画したのは、1年以上も前のことであった。私も企画に携わったのだが、当時は、1929年以来のグローバルな金融危機に遭遇するとは予想していなかった。 はからずしてセミナーは時宜を得た企画となった。セミナーには経済・金融の政策担当者をはじめ、学者、NGOが集まったのだが、メキシコシティという場所柄、ラテンアメリカの参加者が多かった。エクアドルのペドロ・パエス経済政策大臣、アルゼンチンのアルトゥーロ・オーコ…

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IMFと世銀関連

2001年4月12日 IMFと世銀関連の資料を送ります。 1)米議会Meltzer委員会のAdam Lerrick(Credit Suisseのボストン支店長)の論文 「IMF・世銀は重債務最貧国43カ国*の多国間債務のすべてを帳消しにすることが出来る資金を持っている」(*この人はHIPCs対象国を43カ国といっている) 1996年のリヨン・サミットにおいて、G7首脳は、重債務最貧国43カ国の債務の部分的な削減を公約した。G7首脳は、1999年のケルン・サミットで、「HIPCsイニシアティブ」への支持を表明した。 このHIPCsイニシアティブとは、重債務最貧国43カ国の債務を半分または3分の1…

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2001年のジュビリー日程表セネガルのHIPCイニシアティブ

2001年3月4日 1)2001年の世界の大きなイベント・カレンダー 3月14~15日 ベルリン、ドイツJubilee主催:FTAP国際ワークショップ 3月30~31日 イタリアTaomina市、G8シェルパ会議4月6~7日  ブエノスアイレス、第6回FTAA閣僚会議*(後述)4月20~30日 ワシントン、IMF・世銀の春季会議4月20~21日 カナダ ケベック市、第3回アメリカ・サミット会議(FTAA)         これは、2005年までに北、中、南アメリカのすべての国を含めた「アメ         リカ自由貿易地域(FTAA)」の実現をめざした協定を締結する会議であ        る。…

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イタリア政府の債務帳消しについての見解

2001年3月4日 イタリア政府のPosition Paper 3月1日、G7サミットの議長国であるイタリア政府が、ジェノバ・サミットに向けたポジション・ペーパーを発表し、その全文がイタリアのJubilee2000から送られてきました。タイトルは、「債務救済以後(Beyond Debt Relief)」です。 その内容は、(1)2000年末に、IMF・世銀のHIPCsイニシアティブによる債務救済措置を追認する。つまり、私たちが期待した、重債務最貧国22カ国の債務返済を平均して3分の1を免除して行くというこれまでの措置を、上回るような、イタリア政府の新しいイニシアティブはない。債務救済についての…

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