本ページは、 北沢洋子の連載、「世界の底流」の記事を整理したものです。

トルコの総選挙-地滑り的変化

2015年6月19日北沢洋子 1.与党の後退と左翼政党の躍進  さる6月7日、トルコで総選挙(定数550議席)が行われた。その結果は、エルドアン大統領の与党「公正発展党(AKP)」が、258議席と、はじめて過半数を割ったのであった。しかし、AKPは依然として第一党であり、野党との連立しなければならない。 この総選挙の争点は、エルドアン大統領が目指した「強い大統領」、つまり、今までの議会内閣制を大統領制に変えるための憲法改正にあった。トルコでは、憲法改正には、5分の3の330人の議席が必要であった。しかし、投票者は、「強い大統領」と2002年以来のAKPのネオリベラルな強権政治を拒否したのであっ…

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2015 IMF・世銀の春季総会

2015年4月27日北沢洋子  1.春季総会は何を決定したか  中央銀行総裁と蔵相が集まるIMF・世銀の春季総会は、今年4月17~19日、ワシントンで開かれた。通常、この会議はグローバル経済について重要な決定がなされるのだが、今年の総会は何ら内容のある議論も決定もなく終わった。とくに世銀は人権侵害と環境破壊の非難に答えておらず、またIMFもガバナンスの改革を打ち出さすことが出来なかった。 今日、世界経済は憂慮すべき状態にある。例えば、新興国の経済成長の鈍化、一次産品の値下がり、途上国の通貨政策の不安定などが現実のものになっている。しかし、その回答を出すべきIMFの「国際通貨金融委員会(IMFC…

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世界社会フォーラム2015チュニス

2015年4月24日北沢洋子 3月24~28日、チュニジアの首都チュニスで世界社会フォーラム2015が開かれた。   チュニスでの開催は、2013年に続いて2回続けての開催となった。フォーラムには、120カ国から6万人のNGO、労組、研究者、活動家が集まり、El Manar大学のキャンパスで1000のワークショップが開かれた。大学は、財政の正義、健康な環境、無料の健康保険、新たな消費モデルといった内容の無数のポスターや絵画が飾られた。  参加人数が減ったことと、ささいな混乱があった。たとえば、ボランティアの若者たち数百人が、宿泊所や経費の不満を唱えて、会場内をデモしたこと、数は少ないが「イスラ…

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南アフリカのCOSATU(労組連合)の分裂

2015年3月31日北沢洋子 1.南アフリカの三位一体   昨年12月20日、南アフリカ最大の労組連合COSATUの年次大会がボクスバーグで開かれた。ここで、COSATUの最大の加盟労組である金属労組(NUMSA)が追放された。これは、95年以来、ポスト・アパルトヘイトで続いてきた南アフリカ民族会議(ANC)、南アフリカ共産党(SAPC)、労組のCOSATUによる三位一体の危機であり、さらにそれぞれの内部の危機を物語っている。 ここで南アフリカの統治機構である三位一体について、解説しよう。 ANCは、1912年に設立された最も古い反アパルトヘイト運動である。1961年、「Umkhonto We…

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アフリカのフランス新植民地主義

2015年3月24日北沢洋子 1.サヘルの貧困と砂漠化  北アフリカのサハラ砂漠と南の熱帯アフリカの間には「サヘル」と呼ばれる草原の半乾燥地帯が横たわっている。これは、大西洋に面したセネガルから紅海に面したスーダンに至る東西に長い帯状の地域である。このサヘルは、1972年以来、幾度も有史以来の大旱魃に襲われた結果、サハラ砂漠化し、もはや草原地帯と呼べない。 サヘルの旱魃は、1960年代、当時高度成長期にあったヨーロッパがサヘル以南の熱帯雨林を伐採したせいである。これは日本が東南アジアの熱帯雨林にしたことと変わりがない。 サヘル地域は、19世紀末にヨーロッパがアフリカ大陸を分割した際、ガーナ、リ…

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米・イラン核開発協議

2015年3月20日北沢洋子 1.米・イランの核開発交渉のデッドライン  3月15日、苛の核開発についての米・イランの協議が再開した。これは、今年1月以来、ケリー米国務長官とイランのザリフ外相との間で、非公式に行われてきた8回にわたる会談やEメールのやり取りなど粘り強い交渉の成果であった。場所はスイスのジュネーブ、2人はローヌ川のほとりを散歩しながら話し合った。 2人の過度の密接さについては、イラン議会のタカ派が非難する声明を出したほどだった。国際法の博士号を持つザリフ外相は、イスラエルのナタニヤフ首相の訪米に合わせて交渉を再開することを目指していた。ケリー長官の肩の入れ方と時間の投じ方は、イ…

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オバマ大統領 vs ネタニヤフ首相

2015年3月13日北沢洋子 1.米議会でイスラエル首相がオバマ大統領を批判  3月3日、イスラエルのネタニヤフ首相は、米上下両院合同の議場で演説し、「イランの核開発をめぐって、米・イランが合意することに反対する」立場を表明した。そして、「今後も米国の敵国であり続けるイランと手を結べば、核の大量殺戮兵器の悪夢を引き起こしかねない」といって、米国をけん制した。 イスラエル首相のオバマ大統領に対するこの公然とした挑戦は、全世界を驚かした。米国がイスラエルの産みの親であり、建国以来、人口1人当たりでは最高額の軍事・経済援助を供与しており、国際政治の場ではイスラエルの権益を損なういかなる決議にも一貫し…

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ISISとは何か(その2)

2015年3月10日北沢洋子  1.私の見たイスラム  「イスラム教は最も寛容な宗教である」というのが、若い頃、私が10年間、中東で過ごした時の感想である。偶然、カイロ市内にユダヤ人コミュニティがあることを発見した。当時エジプトは英・仏・イスラエル軍に攻め込まれた「スエズ戦争」の直後で、街頭では、若者が「イスラエルを海に突き落とせ」などと叫んでデモしていたにもかかわらず。 しかしカイロのユダヤ人は、敵国人である筈なのに、平和に暮らしていた。彼らは「第2次大戦中のほうが、ナチの空爆の標的だったので怖かった」と言っていた。 現在、「砂漠の宗教」という固定観念になっているイスラム教は、「サラセン時代…

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「エボラ危機」は開発援助の失敗

2015年3月10日北沢洋子  いわゆる「エボラ危機」は、単なるアフリカ固有の疫病ではない。危機の根源は、南北間の埋めがたい格差にあり、それは半世紀の及ぶ開発援助の失敗である。 それは、今から1年ほど前にさかのぼる。西アフリカのギニアで保健省とNGOの「国境なき医師団」のもとに、ギニア南部の僻村で活動している医療スタッフから奇病が発生したという報告が届いた。 一週間後にはこの奇病がエボラ熱でることが判明し、国境を越えてリベリア、シエラレオネに広がっていることが判明した。 1.エボラ熱の根源は複雑である エボラ熱の最初の患者で、最初の犠牲者は、幼児のEmile Ouamounoであった。彼の死後…

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イエメンの春と政治的混乱

2015年2月20日北沢洋子 1.「イエメンの春」のはじまり  2011年1月16日、イエメンで、チュニジアの春に続いて、「イエメンの春」が起こっていた。まず首都のサナア大学の学生たちが「サレハ大統領退陣」を要求する集会を開いた。27年間政権の座についていたサレハ大統領は息子を次期大統領にしようとしていた。 これに、市民が加わり、たちまち数万人のデモになった。サレハ大統領の即時退陣を求めるデモ隊は、大学前の広場を「自由広場」と名づけて、座り込んだ。 やがて、3月18日、治安部隊が非武装のデモ隊に向かって銃撃を開始した。この弾圧に対して、大統領の身内からも反対の声が挙がった。政府軍の将校、与党の…

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ボコ・ハラムの謎

2015年2月8日北沢洋子 1.ボコ・ハラムとは何か  イスラム国と並んで、現在、最大のテロ地域は、ナイジェリアのボコ・ハラム(Boko Haram)となっている。シリア・イラクにまたがる「イスラム国」と同じく、ジャーナリスト、軍隊、対テロ専門家たちの情報はほとんどなく、謎の地域である。住民に対する暴力、外国人や女性、子どもの誘拐、斬首などの虐殺、村や街の破壊といったといったニュースが、イスラム国と同様、毎日報じられているが、何を目的にしているのか、不明だ。 私は、「イスラム国」や「ボコ・ハラム」、それにパキスタン/アフガニスタンの「タリバン」、ソマリアの「シャバブ」などの地域集団を「テロ」組…

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石油価格の地政学

2015年1月16日北沢洋子  昨年6月以来の半年で、石油価格は、バレル当り115ドルから60ドルと、50%近く下落した。これは、石油に限らず、他の一次産品すべての中でも、史上最大の暴落となった。そして、この値下がりは、世界の政治・経済秩序を大きく揺るがしている。 一口に言えば、この値下がりは、世界最大の石油輸入国である米国と中国の経済を潤し、一方では、米国の敵対国であるロシア、イラン、ベネズエラなど大石油輸出国に災厄をもたらし、金融・通貨危機までも引き起こした。米国の敵対国では、北朝鮮だけが打撃を受けていない。なぜなら、北朝鮮は石油を100%輸入に頼っているからだ。  とくに、ロシアの場合、…

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黒いアフリカの春

2015年1月14日北沢洋子   昨年10月30日、西アフリカのブルキナファソで政変が起こった。日本のマスコミは僅か100字のベタ記事が1回載っただけだったが、実際には、アラブの春に次ぐ市民社会の大デモが、独裁政権を打倒したのであった。 市民による街頭デモが、長期独裁政権を倒したチュニジア、エジプトという北アフリカの「アラブの春」が、サハラ以南のアフリカの長期独裁政権に対しても続くと期待されていたが、ブルキナファソがその最初の例となった。 今回、ブルキナファソで、デモによって打倒されたブレーズ・コンパオレ政権は、1987年にクーデターでトーマス・サンカラ社会主義政権を倒し、以来27年間にわたっ…

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香港の雨傘革命

2014年11月3日北沢洋子 1.世界最大規模、最長期のオキュパイ・デモ    去る9月28日、香港で、「行政長官選挙の制度改革」をめぐって、民主化を求める学生が街の中心部の道路を占拠した。香港島では、官庁街の「金鐘(アドミラルティ)」を始め、金融街の「中環(セントラル)」、「湾仔(ワンチャイ」「銅鑼湾(コーズウェイ)」などの繁華街、そして九龍半島では繁華街「旺角(モンコック)」の道路すべてに座り込んだのであった。これで、香港の政治、経済、金融の機能は完全に麻痺した。 そして、今、1ヵ月が過ぎようとしている。今回の香港のデモは、2011年9月、ニューヨークのウォール街占拠にはじまった一連のオキ…

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米の空爆シリアに拡大

2014年10月11日北沢洋子 1.国連安保理のISIS決議  さる9月24日、国連安全保障理事会は、首脳級の会合を開き、全会一致で「イラクとシリア・イスラム国(ISIS)」対策を決議した。安保理が首脳級の会合を開くのは、珍しいことで、国連創立以来の70年間に、これで6回目である。折から開かれていた国連総会に首脳たちが出席していたという背景がある。 決議は、欧米から多数の若者がISISに集まっていることを取り締まる「具体的な措置」を講じるよう各国に求めるというものであった。 これは安保理の議長を務めたオバマ大統領のほとんど恫喝にひとしい発言が功を奏したのであった。彼は「ISISに合流した若者が…

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インドのマオイストが国土に40%に展開

2014年10月北沢洋子抄訳 マオイスト(毛派)の蜂起がインドの国土の40%に及んだのは、民衆の貧困とニューデリーの政府のネオリベラリズムのせいだ―Asad Ismi (『The Red Phoenix』 2013年12月20日号掲載) 1.インドのマオイストの攻撃  2013年5月25日、マオイスト・ゲリラの急襲によって、インド中央部のチャチィースガル州(Chattisgarh)の会議派議員28人が殺された。これによって同州の会議派指導部は崩壊した。この州ではヒンズー右派のBharatiya Janata Party(BJP)が政権をとっており、会議派は野党であった。 この州では、10年4月…

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ISISとは何か

2014年9月02日北沢洋子  今年6月頃、イラクとシリアにまたがる広大な地域に突如出現した「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は、謎の多い組織である。これまでに判ったことをまとめてみた。 1.「イスラム国」独立宣言  さる6月29日、ISISは独立宣言を行った。その領土は、イラク第2の都市モスールを中心としたイラクの北西部からアレッポなどシリアの東北部に及んでいる。 この「独立宣言」を承認した国はまだない。ISISは、独立宣言とともに、イラクとシリアの国名を削り、「イスラム国(IS)」と改名した。また「アブ・バクル・アル=バグダーディ」がその「カリフ」であると発表した。カリフとは、イス…

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なぜ、ガザで殺戮が繰り返されるのか

2014年8月北沢洋子 1.イスラエル軍のガザ爆撃  ガザは、イスラエルとエジプトに囲まれた狭い回廊である。そこに170万人のパレスチナ人が暮らしている。イスラエル、エジプトの検問所は封鎖されている。空港も港も使えない。ガザは「世界最大の天井のない刑務所」と言われる所以である。 7月8日未明、イスラエル軍は、ガザに対して約50カ所を空爆した。イスラエル軍の作戦は、7日夜にハマスの軍事部門がイスラエル南部をロケット弾数十発で攻撃したことへの報復だと言っている。確かに、これまでも、ハマスがロケット弾攻撃を行っていた。しかし、イスラエルの報復はロケット弾攻撃の度合いに応じて限定的に空爆をしてきた。 …

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カルフォルニアの港湾労働者ストでターミナル3ヵ所が閉鎖に

2014年7月19日北沢洋子 1.史上最大の港湾スト  チームスターズ(Teamsters)はトラック運転手の労働組合で、全米の労組の中で最も歴史が古く、規模が大きく、戦闘的なことで知られる。 7月14日以来、ロスサンゼルスとロングビーチのチームスターズ支部の港湾トラック運転手120人がストに突入した。その結果、カルフォルニア州最大のロサンゼルス港をはじめとする計3ヵ所の港が、歴史上はじめて完全閉鎖に追い込まれた。彼らがボイコットした港湾会社は、「Pac 9 運送」、「Green Fleetサービス」、「トータル運動サービス(TTSI)」の3社であった。さらに「エバグリーン・コンテナ・ターミナ…

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オバマ大統領、イラクに再派兵を決定

2014年7月北沢洋子 1.300人の米軍事顧問団再びイラクへ  さる6月19日、オバマ大統領は、イラクに再び米軍を派兵することを決定した。戦闘部隊ではなく、300人規模の「軍事顧問」を送るというのだが、誰一人、これで終わると思う人はいない。 なぜなら、ベトナム戦争の例があるからだ。ケネディ大統領時代の1960年代初頭、米国は南ベトナム軍の訓練のために、2~300人の特殊部隊(グリーンベレー)を送った。しかし、これでは効果が挙がらず、数年後には、50万の地上部隊を投じ、さらに北ベトナムを爆撃した。しかし、75年、米軍は5万人の戦死者を出し、ベトナムから撤退した。今回、派兵される米軍事顧問は、海…

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オバマ大統領、イラクに再派兵を決定

2014年7月北沢洋子 1.300人の米軍事顧問団再びイラクへ  さる6月19日、オバマ大統領は、イラクに再び米軍を派兵することを決定した。戦闘部隊ではなく、300人規模の「軍事顧問」を送るというのだが、誰一人、これで終わると思う人はいない。 なぜなら、ベトナム戦争の例があるからだ。ケネディ大統領時代の1960年代初頭、米国は南ベトナム軍の訓練のために、2~300人の特殊部隊(グリーンベレー)を送った。しかし、これでは効果が挙がらず、数年後には、50万の地上部隊を投じ、さらに北ベトナムを爆撃した。しかし、75年、米軍は5万人の戦死者を出し、ベトナムから撤退した。今回、派兵される米軍事顧問は、海…

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中東和平交渉の真実

2014年6月1日北沢洋子 1.パレスチナのハマスとファタハの和解 さる4月27日付けの『朝日新聞』は、  「パレスチナ人の代表組織(PLO)は、26日、ヨルダン川西岸の自治区ラマラで中央評議会を開き、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの和解合意を支持し、暫定統一政府の設置、自治政府の設置、自治政府議長、評議会選に向けた動きを進めることで一致した」ことを報道した。  これは嬉しいニュースである。と言うのには、昨年、ケリー米国務長官が中東でシャトル外交を展開し、イスラエルとパレスチナの和平交渉の再開を呼びかけた。しかし、肝心のパレスチナの組織が分裂している状態では、PLOに交渉の主体とし…

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“社会主義”セーシェルはどこへ行くのか?

2014年5月1日北沢洋子  おそらくセーシェルがどこにあるか知っている人は少ないだろう。セーシェルは、インド洋に浮かぶ115の島で出来た小さな島嶼国である。地理的、政治的にアフリカ圏に属する。 人口は100,000人で、アフリカ人、インド人、ヨーロッパ人、アジア人で構成される。多くは、フランス、続いて英国の植民地時代に、無人島であったこの島嶼に連行された奴隷の子孫である。したがって公用語もフランス語、英語、クレオール(外来語と土着語の混合)と多言語である。 1.セーシェルはパラダイスか  今日のセーシェルには観光以外の産業はない。   このように書くと、失業者で溢れた貧しい島国を想像するだろ…

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複雑極まりないウクライナの政変

『社会民主』14年04月号掲載北沢洋子(国際問題評論家)  キエフのデモを書き始めたのは、2月末であった。その段階では、親ロシア政権を倒したデモが単に「親EU」ではないことに注目した。しかし、3月に入ると、プーチン大統領が上院の承認を得て、ロシア軍をクリミア半島に展開するという事態に発展した。 まさに米ロの対立という冷戦時代が再現した。月刊誌では急展開する事態に間に合わせることが出来ないので、ここでは、キエフのデモの本質、クリミア経済とIMF, クリミア半島の地政学などにとどめる。 1.親ロ政権の崩壊  ウクライナでは、昨年11月21日、ヤヌコビッチ大統領が、仮調印まで済ませていた「ヨーロッパ…

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イスタンブールの春

2014年3月26日北沢洋子 1.イスタンブールで史上最大の葬儀デモ  さる3月12日、イスタンブールで起こったデモは、トルコ史上、最大規模のデモとなった。これは、その前日に亡くなったバーキン・エルバン君(14歳)の葬儀デモであった。エルバン君は、昨年6月15日、家族のためにパンを買いに行った時、デモに遭遇した。1人の警官の催涙弾で頭を撃たれて以来、289日間、コンマ以下の状態が続いていた。したがって、彼の死は、イスタンブール警察の暴力を象徴するものだった。未だに警官の氏名はわかっていないし、警察は調査をしようとしない。 当日の葬儀は、正午、彼が亡くなった病院で始まった。葬儀の始まりに1分間の…

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シリア政府のおぞましい拷問の写真シリ-ズ

2014年02月1日北沢洋子 1.アサド政権の囚人大量虐殺の証拠写真が流失  スイスのモントルーでシリアの和平会議の開催直前の1月22日、カタールの衛星テレビ『アル・ジャジーラ』が、「アサド政権がこれまで3年間、1万1,000人を系統的に拷問し、死に至らしめた」と題して、一連の証拠写真を暴露した。 それは、すさまじい拷問の痕跡、えぐれた腹部、絞殺の跡、むち打ちなどの写真で、歴史的なナチのホロコーストのイメージと重なる。 『アル・ジャジーラ』は、「これは、シリア警察の写真師が国外に持ち出した5万5,000枚のデジタル写真の一部だ」と報じている。3年前に、アサド大統領の退陣を求める民主化デモがはじ…

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