2008年4月1日
北沢洋子
イタリアのSALINI社は、ダム建設を専門とするゼネコンだが、すでにこれまでウガンダのBujagaliダム建設、シエラレオネのBumbunaダム建設などをめぐってスキャンダル事件を起こしてきた。
今回、イタリア政府が援助するエチオピア最大のインフラ建設計画であるGilgel Gibe IIダム建設をめぐって、新たに超ひも付き援助という疑惑が出てきた。援助費用は、いかがわしいローン契約になっとり、受注方法も一般受注方法をとらなかった。
イタリアには日本の日本国際協力銀行(JBIC)に似た「イタリア開発リボルビング基金」 という政府系海外援助融資機関があるが、2006年3月、ローマの検察局が、これまでで最大の融資計画に対して捜査した。その対象は、エチオピアのGilgel Gibe IIダム建設プロジェクトに対する2億2,000万ユーロにのぼる援助計画であった。
第1に、イタリア外務省の開発援助局の融資計画のプロセスが不明である。第2に、援助局内の技術評価部と大蔵省ともにプロジェクトについては否定的な意見を表明している。第3に、ローンの認可を正当化する技術的な証拠がない。第4に、イタリアの政府輸出保険機関であるSACEが、上記の理由から、このプロジェクトに対する輸出保険の認可を拒否した。
近い将来、イタリア政府は、Gibe IIIに対しても資金供与を続けることになるだろう。それは、政府が私企業に補助金を出し続けるという「Siatems Italia」方式が続くことになる。
EUの開発援助計画は、実に統一性を欠いている。ヨーロッパ投資銀行は「コトノウ協定」の枠組みに従って、今回のイタリアのケースを含むEUの開発計画のゴールにもとづいて融資される。しかし、ヨーロッパ投資銀行は、すでにイタリア建設会社Salini社のBilgel Gibe IIダムプロジェクトに5,000万ユーロを協調融資している。さらに将来、Gilgel Gibe III建設プロジェクトに対しても巨額の融資をすることを計画している。
世銀は、すでにGilgel Gibe IIIダムプロジェクトに対する17億ドルの融資計画をキャンセルした。それは、Gilgel Gibe IIをめぐるイタリアの犯罪的な経緯を理由にしている。