2015年5月18日
北沢洋子
さる3月、世銀は途上国の債務に関するデータを発表した。それによると、貧困国の政府への融資が、前年比40%も伸びていることがわかる。そして、グローバルな金融危機が発生した2008年と比較すると、3倍の伸びである。
これを、貧困国に限ると、2013年には173億ドルに上っている。2012年には、122億ドル、2008年には61億ドルであった。この融資額の中で多国籍機関、特に世銀とIMFの融資が占める比率は63%である。また27%が中国、日本、フランス、ドイツなどの政府によるものである。民間銀行の融資は?%である。
融資ブームの原因は、ドナーたちが開発援助を贈与ではなく融資の形ではじめたためである。また米国やEUが低利であることから、途上国での投機に走っている。もし、適切な措置、すなわち脱税などと取り組んで政府の収入を増やさなければ、また、無責任な貸し手は救済されないぞという断固たる姿勢を示さなければ、ギリシャ型の債務危機が起こるだろう。
貧困国への融資は金融危機の2008年以降、3倍に増えている。
また、貧困国の3分の2が、来る?年間、債務返済額が政府の収入の大きな部分を占めることになるだろう。平均すると、現在のような融資ブームが続くと、債務返済分が政府の収入の85%から250%に上るだろう。これは、高い経済成長を実現するか、あるいは外的なショックで経済成長がマイナスになるかでことなってくる。とにかく、現在の融資ブームは、債務危機が発生する危険性をはらんでいることは確かだ。
最初に債務危機に陥る国は、ガーナである。今年3月、IMFのスタッフがガーナ政府と年間3億1,000万ドルの融資を3年にわたって行うことを取り決めた。これは、ガーナに焦げ付いた貸し手を救済するためだった。この融資は、これまでの貸し手への債務返済に充てられる。ガーナの債務は2015年には12億ドル、17年には16億ドルにのぼり、政府の収入のなかでは、16~19%を占めるだろう。
2014年9月、国連は、政府の破産法を設けることを決議した。このようなメカニズムはIMFやその他の国際機関が、ギリシャやガーナのように、無責任な貸し手をもはや救済しないぞというシグナルを送ることになる。この決議に反対したのは、英国、米国、ドイツ、日本、など11カ国であった。