2008年2月26日
北沢洋子

 ガンビアは、昨年12月21日、IMF、世銀、アフリカ開銀などの国際金融機関との間でHIPCsイニシアティブをめぐる7年間もの長い交渉が終わり、1億4,000万ドルの債務帳消しを受けることが出来た。これは、債務総額の27.7%に当たる。
 さらに05年のグレンーグルスでのG8サミット合意をもとにIMF、世銀が始めた「多国間債務救済イニシアティブによって、残りの5億1,400万ドルが帳消しになる見通しである。
 債務救済によって浮く政府予算は、医療、教育、その他基本的な公共サービス部門に投資されることによって、この国が抱えている貧困の解決に使われる。
 貧困はガンビアの国民病である。人口の3分の1が栄養不良であり、60%が1日1ドル以下の生活を送っている。しかし、ガンビアはGDPの6.3%を債務返済に使っている。2005年には2,900万ドルを返済に充てた。
 2007年、IMFと世銀は「ガンビアはHIPCsイニシアティブを実施している」と発表した。ということは、ガンビアは、構造調整プログラムという厳しい条件をクリアしたわけだ。
 その中には、ガンビアの主要な産物である落花生産業を自由化したことも入っている。落花生産業は、最盛期には労働人口の4分の3を雇用していた。そして、「ガンビア落花生公社(GCC)」の民営化に圧力に対して、かなり政府は抵抗してきた。
 しかし、最後に、ガンビア政府は200万ドルでスイスの会社に売ることを余儀なくされた。その結果、10,000人の労働者が失業したのであった。さらに、ガンビアは、それまで落花生油の輸出国であったものから、輸入国に転落してしまった。
 1999年、GCCは再国有化された。その後、ガンビア政府はIMFの再民営化に抵抗してきた。その代わり、ガンビア政府はIMFのいう公社の運営を民間に委託するという「新しい総合的な枠組」と呼ぶメカニズムを受け入れることになった。

 HIPCsイニシアティブを「達成した」とされるのは32カ国である。この中でガンビアは債務帳消しを受けた23番目の国となった。残りの中で8カ国がガンビアに続いて債務帳消しを待っている。