2009年3月22日
北沢洋子

1.スリランカの債務の罠      

 2年前、スリランカはIMFと手を切ったため、IMFはコロンボの事務所を閉鎖した。スリランカはまた、国連開発計画(UNDP)の人間開発指標では、非常に高い評価を受けている。
にもかかわらず、今年3月11日、スリランカ政府はIMFに対して、19億ドルの救済融資を申し入れた。
 今回、輸入が輸出を上回り、外貨準備が、3ヵ月の輸入平均を下回った。つまり、外貨が底をついたのであった。
 スリランカの危機は、(1)輸出からの収入が減り、その結果、中央銀行は、現地通貨であるルピーがドルに対して下がるのを食い止めることが出来ない。
(2)タミール分離主義者との膨大な戦費と費用がかかる国営部門の穴を埋めるために、もはや海外の金融機関から借り入れることができない。
 野党やエコノミストから非難を受けている中央銀行のAjith Nivard Cabraal総裁は、「IMFからの借り入れには条件がついていない。本来なら必要がないのだが、たまたま良い機会があったのだ」と語った。
 スリランカの08年12月末の時点での外貨準備は17億ドルであった。これは1.5ヶ月の輸入を賄うことが出来る。しかし、2年前、07年12月末の外貨準備高は35億ドルであった。つまり、IMFと手を切って以来、外貨準備が減り始めたのは、皮肉なことであった。
 2008年下半期、外国人が持っていたスリランカの中央銀行債券が投売られたので、中央銀行は月平均2億ドルの外貨を08年第4四半期間にルピーの価値を維持のために使った。
 「人民解放戦線(JVP)」や「JHU」などスリランカの野党はIMや世銀のような国際金融機関の条件を嫌っている。
 スリランカがIMFから支援を受けたのは2003年4月のことである。このとき、IMFはスリランカに5億6,700万ドルの融資をしている。第1回目の融資供与は8,100万ドル、2003年11月におこなわれたが、その後、スリランカ政府との紛争が起こり、融資はストップした。
 これは、IMFがスリランカ政府に対して、財政赤字を減らすこと、政府予算を削減すること、金融引き締め、外貨交換を自由化することなどを条件としたのであった。
 現在ルピーはドルにペッグされ、輸入の需要に応じて、調整されている。
 これまで、輸出業者は、ルピーがドルに対して非常に高いこと不満であった。これは、輸出しても十分なルピーが得られス、一方では輸入品、徳に食料品と燃料が高い。
 スリランカ政府と中央銀行は、危機の存在を否定してきた。しかし、スリランカ最大の輸出品である衣料品の市場は狭まり、失業者が増えている。そこで、経営者団体は政府に対して、コストを引き下げるために、週に5.5時間の労働日を5日に短縮することを申し入れたのであった。

2.ロンドンでG20に対するデモの計画

  来る3月28日(土)、4月2日に予定されているG20サミットに抗議して、大規模なデモが計画されている。
 G20は、G7+ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシアなど新興国の首脳が集まり、グローバルな経済のメルトダウンに対処する方法を議論する。このままでは、G20はすでに失敗した経済をあり合わせの布でほころびを縫い合わせるだけに終わってしまうだろう。
 これに対して、3月28日は、ロンドン市内で「Put People First(人間が第1だ)」という統一したスローガンで抗議デモを行なう。デモはウエストミンスター寺院が起点になっている。エジンバラ、リバプール、マンチェスターなどでも同様なデモが計画されている。