2014年3月31日
北沢洋子

 ポルトガル政府の債務は、2013年末、GDPの125%に上った。昨年末、この債務の利子の支払いだけでGDPの3.5%に上った。利子の支払いは、ポルトガルがEUのEuropean Stability Mechanism(ESM)が課したプログラムの実施を終えれば、確実に増えるだろう。多分GDPの4.6%以上になると予想される。「ヨーロッパ安定化メカニズム(ESM)」は、ユーロ圏で政府債務危機が起こった場合、この基金から支払われる。それと同時に債務国は、ESMの緊縮条件にしたがわねばならない。
  ポルトガル政府の債務の利子の支払い額が、経済成長率を上回ったときには、持続不可能な債務になるだろう。
 ESMがポルトガルに課した緊縮条件の1つに、国営企業の民営化がある。ポルトガル最大の銀行で、これまで、国有であったCaixa Geral de Depositos(CGD)の保険部門を、中国の復星国際公司(Fosun)が買収することになっている。
 ポルトガルの憲法裁判所は、政府が緊縮プログラムの一環として、年金の削減を違憲だと判決した。しかし、政府はこの判決を受けいれようとせず、今度は年金の支給額を削減しない代わりに、税金を課そうとしている。
 野党は、再度、憲法裁判所に、この課税案と、給与の賃下げ、寡婦手当て、失業手当や病気手当の削減を違憲として訴えようとしている。
 リスボンの銀行の前には、抗議のごみ袋が積まれている。今年1月末には、Silva大統領は、「トロイカ」に押し付けられた「緊縮政策」の法的な調査をはじめるといっている。