2001年3月4日

イタリア政府のPosition Paper

3月1日、G7サミットの議長国であるイタリア政府が、ジェノバ・サミットに向けたポジション・ペーパーを発表し、その全文がイタリアのJubilee2000から送られてきました。
タイトルは、「債務救済以後(Beyond Debt Relief)」です。

その内容は、
(1)2000年末に、IMF・世銀のHIPCsイニシアティブによる債務救済措置を追認する。つまり、私たちが期待した、重債務最貧国22カ国の債務返済を平均して3分の1を免除して行くというこれまでの措置を、上回るような、イタリア政府の新しいイニシアティブはない。債務救済についてのイタリアのイニシアティブはない、ということです。

(2)最貧国にたいする政策はもはや債務救済ではなく、貿易、投資などを通じた措置に切り替えて行く。
これは、昨年、Jubilee2000の沖縄国際会議において、英国のChristian Aidが、「2000年以後の国際キャンペーンを債務帳消しから貿易にシフトする」と発言し、またOXFAMなどがこれに同調し、さらに昨年プラハ総会で世銀総裁が、「先進国の市場を解放したほうが、債務救済より多くの利益を途上国にもたらすので、WTOの交渉のほうがはるかに効果がある」と発言したことと、奇妙に一致しています。巨大NGOと国際金融機関、G7政府との共同行動の時代の到来をつげるものではないか?

今回のイタリア政府の新しい提案は、「統合フレームワーク」信託基金です。これは、すでに、世銀とWHOが共同管理する「保健基金」の例があります。これは、G7政府が7億ドル、1,000社が50万ドルを拠出しています。また、世銀とUNESCOが「教育基金」について同様な企画もあります。イタリアの提案は、これらのイニシアティブを統合して、低開発国に流そうというものです。これらのイニシアティブの目玉は、政府と企業の共同出資にあります。

イタリア政府のポジション・ペーパーは、本文だけで、A4版ダブルスペースですが27ページ、付表が18ページもある膨大なものですので、全訳はできませんので、要約をお届けします。

イタリア財務省
「債務救済以後」

 HIPCsイニシアティブによる債務救済の効果を確実でするために、以下の必要な3つの措置をとる。

1)最貧国の輸出品、とくに農産物と低技術製品についての先進国の市場を開放する措置をとる。
●そのため、イタリアは、QWAD国(先進国)低開発国の輸出に対する関税、非関税障壁を減らす、あるい撤廃するため、共同のグローバルなイニシアティブを提案する
●貿易の技術を高めるために、イタリアは、G7国が「統合フレームワーク信託基金」に1億ドルを拠出することを提案する。
●貧困削減戦略ペーパーのような国内開発戦略の中に、貿易問題を重要事項として組み入れる
●WTOのプロセスを推進することが、鍵となる

2)企業の低開発国に対する直接投資を促進する。そのため政府は、直接投資と技術移転の措置をとる。
●投資家と知的所有権を保護するために、原則、条項、基準、ベスト・プラクティスなどについてのミニマムな要綱を開発する。
●低開発国に重点を置いた投資の機会ついての情報、応用調査を開発する国際機関のイニシアティブを支援する。

3)最貧国に対する、IMF、世銀、その他の多国間機関の開発融資が、より有効に社会セクターに向けられるようにする。
 イタリアは、これらの資金は主要には、教育と保健セクターに向けられるべきだと考えている。