2008年2月10日
北沢洋子

 08年1月31日、ベルギー上院は「はげたかファンドの活動から開発協力と債務救済を守る決議と法」を満場一致で採択した。この決議と法案はリベラル党の上院議員によって提出された。
 一般的には、ベルギーでは、リベラル派は国家の役割を出来るだけ小さくすること、自由化と自由競争のモデルを推進する立場にある。にもかかわらず、上記のような「はげたかファンド」を規制する決議文と法案がリベラル派から提出されたのは画期的なことである。
 というのは、はげたかファンドの問題が、2007年中、上院の外務と防衛委員会において議論や多くの公聴会が行なわれてきた成果であった。とくに公聴会には「11.11.11」、「CNCD」、「CADTM」などのNGOが呼ばれて、多くの事例について証言を行なってきた。EURODADのMarta Ruizも金融問題について証言した。
 ベルギー政府が開発援助を集中させているアフリカでは、2007年、はげたかファンドは非常に活発に活動した。
 たとえば、ケイマン島に登録している「はげたかファンド」の「Kensington International」は、コンゴ共和国(ブラザビル)の債務を値切って180万ドルで買い、それを正価の1億2000万ドルを支払えとブルッセルの法廷に提訴している。
 ベルギーにおいては、はげたかファンドは、火力発電所の建設をめぐって、大蔵省、開発協力省から1,030ユーロの支払いを要求して訴訟を起こしている。また58万7000ユーロにのぼる国営テレビへの開発協力無償援助費を要求して訴訟を起こしている。
 ベルギーの上院議員たちを驚かしたのは、はげたかファンドがコンゴ民主共和国について、10以上の訴訟を起こしていることであった。民主コンゴはベルギー領植民地であったため、ベルギーの開発援助が集中している。
 つまり、ベルギーの開発援助を守るために、はげたかファンドの規制が必要であるとの結論に達したのだ。
 今年1月15日の上院の議論では、はげたかファンドの規制について、今後、ベルギーはEUの中で積極的な役割をはたすべきだということで一致した。シャルル・ミシェル開発協力相(EUのルイ・ミシェル開発協力コミショナーの息子)は上院の議論に出席し、決議に対する支持を表明した。