2012年12月13日
北沢洋子
11月5日、英国政府は、ジュビリー債務キャンペーン(JDC)の要請に対して、英国が持っている途上国の債務の明細を情報公開した。
英国が持っている途上国に対する債務は、主として英国企業が輸出した場合、「輸出金融(UKEF)」」につけを回し、英国政府の債権になってきた。
アルゼンチンの債務の38%は、軍事物資に輸出の対するローン
エクアドルの債務の56%は、軍事物資の輸出に対するローン
エジプトの債務の23%は、軍事物資の輸出に対するローン
インドネシアの債務の74%は、軍事物資の輸出に対するローン
ケニアの債務の70%は、電力部門に対するローン、例えば、「白い巨象」と呼ばれる悪名高いTurkwel ダム建設プロジェクトへの融資など
以上のケースはいずれも抑圧政権の時代の債務である。 その総額は10億ポンドに上る。これらの武器は、市民の弾圧に使用された。英国JDCのTim Jones は、「このような債務を帳消しにする」ことを要求している。情報公開によって、債務の部門別明細は明らかになったが、すでに返済した分の部門別明細は明らかにされていない。
不正な債務の保有国20カ国のなかで、最大の「不正な債務」保有国はインドネシアである。インドネシアの対英債務総額8億5,300万ポンドの中で、不正な債務は6億5,300万ポンドに上る。その大分は1967~98年間に、スハルト将軍に売った武器である。
1979年、英国政府はアルゼンチンに武器購入のために、4,500万ポンドのローンを与えた。皮肉なことに、これらの武器は、フォークランド紛争中に英軍に対して使用された。
エジプトでは、サダトとムバラク政権時代に、武器購入のために、英国は1億ポンドのローンを与えた。「アラブの春」によって、ムバラクは打倒されたが、エジプトは今でも毎年1,200万ポンドを返済している。
イラクのフセイン時代に英国は武器購入のために500万ポンドの融資をした。これは、「イラクに対する武器のスキャンダル」として名高い事件である。
アムネスティ・インターナショナルによれば、英国は、ジンバウエに対して、ランドローバーの購入のために1,200万ポンドを融資した、と報じている。これは、2001年、野党の活動家に対する攻撃に使用された。
この記事は、同日、『ファイナンシャル・タイムズ』紙に掲載された。