北沢洋子
2010年9月19日
バングラデシュの英文日刊紙『デイリー・スター』は9月7日、2~3ヵ月中にIMFから10億ドルのソフト・ローン(無利子、長期返済)を受取ることになった、と報道した。これはバングラデシュ政府が、今年はじめに、新たな「貧困削減戦略II」を開始したことによる。
これは、IMFの代表団がバングラデシュを訪問し、AMA Muhith大蔵大臣との会見後、発表された。今回のIMFの代表団はAnoop Sunghアジア太平洋局長を団長とし、David Cower IMFミッション長、Eteri Kvintrade現地駐在員という構成であった。
会見後の記者会見で、バングラデシュの大蔵大臣は、「IMFはわが政府の提案を考慮すると約束し、多分12月か来年1月に決定されるだろう」、「IMFの融資は無利子であり、どの部門にも自由に使うことが出来る」、そして「バングラデシュ政府は農業、社会セフティネット、道路建設などに使うことを考えている」と語った。
またMuhith大蔵大臣は、「バングラデシュが貧困削減戦略IIを執行するには、60億ドルほどの資金が必要である。IMFからの10億ドルは、その中の一部である」と述べた。
したがって、「貧困削減戦略IIの遂行には資金のギャップがある」と付け加えた。
「では政府の政策を変更する計画はないのか?」という記者の質問に対して、大臣は「政策の変更はない。貧困削減戦略IIの起草に当たっては、各方面の意見を聞いている」と答えた。
また、彼は「IMFの10億ドルは第1にPadma橋の建設に充当する」と答えた。「公共部門の開発に関しては、政府はまず、国内で資金を調達する。そして、私企業部門の投資を奨励する」、そのために「公共・私企業パートナーシップ基金」を創設した、と語った。
大蔵大臣は、「GDPの成長率を、以後2年間で8%増を予測している」と述べた。
通常、IMFは経常収支が赤字になった場合、融資をするのだが、バングラデシュの場合はそのような問題はない。世界的な金融危機に際して、IMFはこれまでの政策を大幅に変更したようである。