2008年2月12日
北沢洋子
ノルウエイの債務帳消しのNGOであるSLUGは以下のようなレポートを発表した。
「アフリカにおける中国:融資政策とガバナンス」
アフリカに対する中国の開発融資が増大している。中国の融資は、アフリカが必要としているインフラ建設などに集中しており、一般的には、歓迎されるべきである。
しかし、中国の開発融資の問題点はそれが、すでに大きな債務を抱えている国である場合である。
この場合、融資自体に問題であるのではない。中国の開発融資は資源の豊かな国に集中しているからである。問題は、融資契約の内容は議会、メディア、市民社会に公表されず、そのプロセスに透明性を欠くことである。その結果、少数のアフリカの指導者に権力が集中する。しばしば、融資は正しく使われず、不当な債務になっている。
また中国が新たな融資先として登場することは、伝統的な西側ドナーに対してはアフリカにとってはオルターナティブとなる。
しかし、中国は国内問題に不干渉という外交政策をとっており、融資には、「1つの中国、台湾を国家と認めない」という条件しかついていない。それに対して、伝統的なドナーは、アフリカの国の経済を変えるという条件がついていた。
ところが、最近では、債務救済が実施された結果、貧しいアフリカの国に対する、IMFや世銀の支配力は低下している。そこに、中国のような新しい、無条件の融資源が現われることは、アフリカにとっては伝統的なドナーに対する交渉力を強めることになる。
一方では、中国の不干渉主義は、ネガティブな面もある。伝統的なドナーに比べて、中国は人権や環境については無関心である。住民を弾圧している国では、中国の進出は問題を引き起こしている。
したがって、中国のような新しい貸し手が登場するにつれて、ますます、「貸し手と借り手の責任」についての国際的な規制が必要になってくる。