2008年1月3日
北沢洋子
昨年4月、国連の「エイズ・結核・マラリア撲滅グローバル基金(グローバル基金)」理事会は、インドネシア、ケニア、パキスタン、ペルーの4カ国について「債務と医療保健スワップ・プログラム(Debt2Health)」の2年間実施パイロット計画を決定した。
これにもとづいて、昨年9月、ベルリンで開かれたグローバル基金のドナー会議開会式で、インドネシアとドイツの間で最初のDebt2Healthプログラムが発足した。ドイツのHeidemarie Wieczorek-Zeul開発相、グローバル基金のDr. Michel Kazatchkine所長、インドネシアのMakmurWidodo駐独使の3人が初のDebt2Health協定に署名した。
これによって、ドイツは同プログラムの初のドナー国となった。インドネシアも同プログラムの初のパイロット国となった。この協定によると、ドイツはインドネシアの債務5,000万Euroを帳消しにする、インドネシアはそれによって浮いた資金の半額を国連のグローバル基金を通じて国内の医療保健プログラムに充当する。
Debt2HealthはすべてにとってWin-Winプログラムである。国連グローバル基金にとっては、重要な任務を全うできるという期待が生まれる、インドネシアにとっては、国内の医療保健制度を向上させることができる、ドイツにとっては、エイズ・結核・マラリアを闘うという責任を果たすことができる。
Wieczorek-Zeul開発相は、「私はドイツがDebt2Healthプログラムの初の実施国となったことを誇りに思う。Debt2Healthは途上国にとって、これまでの医療保健予算に加えた新しい資金を提供することになる。ドイツはこのパイロット計画の2年間でDebt2Health プログラムを通じて2億ユーロを国連グローバル基金に拠金する計画である」と語った。
国連グローバル基金のKazatchkine博士は「Debt2Healthは伝統的な開発資金供与とは異なる。そしてグローバル基金にとっても重要な要石となった。Debt2Healthプログラムは、国連グローバル基金を使って債務と医療保健のスワップを行うという方法論を確立できた。さらにこれまでのHIPCsイニシアティブ対象国以外の国で、輸出額の5分の1以上を債務返済に充当していたかなりの中所得国も債務帳消しを受けることが出来、同時に、これら疫病に対処する資金の重圧を軽減することが出来る」と述べた。