2001年4月12日
IMFと世銀関連の資料を送ります。
1)米議会Meltzer委員会のAdam Lerrick(Credit Suisseのボストン支店長)の論文
「IMF・世銀は重債務最貧国43カ国*の多国間債務のすべてを帳消しにすることが出来る資金を持っている」(*この人はHIPCs対象国を43カ国といっている)
1996年のリヨン・サミットにおいて、G7首脳は、重債務最貧国43カ国の債務の部分的な削減を公約した。G7首脳は、1999年のケルン・サミットで、「HIPCsイニシアティブ」への支持を表明した。
このHIPCsイニシアティブとは、重債務最貧国43カ国の債務を半分または3分の1に削減するという内容であった。これは、向かう20年に亘って毎年の債務返済額を減らすという方法をとった。
このHIPCsイニシアティブは、OXFAM International、米国会計監査院などから、あまりにも「スロー」であり、また最貧国が債務救済措置を受けた後も、支払不可能な債務を抱えることになるとして、批判を受けた。
IMF・世銀は、なぜ一挙に100%の帳消しが出来ないのかという問いに対して、資金がないことを理由に挙げている。しかし、これら2つの国際金融機関は43カ国のHIPCsの債務を100%帳消しする資金を十分に持っているのである。
事実、5つの国際金融機関は、6,330億ドルの資本金と、600億ドルの不良債権補填金/剰余金を持っている。アフリカ開発銀行を例外として、すべての国際金融機関は、これらすべての資金をHIPCs43カ国の債務帳消しに充当できる。
IMF、世銀、アメリカ開発銀行、アジア開発銀行が持っている43カ国の債務総額は、320億ドルであり、全資本金の5%、補填金/剰余金の54%である。
国際金融機関は、これらの資金を帳消しに流用すれば、金融機関としての信用度が低下するというが、通常、商業銀行の場合、資本金の10%までロスを出しても、営業には支障ない。したがって、IMF・世銀の言い分には根拠がない。
IMFの場合、119億ドルの剰余金に対して、HIPCsの債務は62億ドルである。世銀は、298億ドルに対して、219億ドルである。アジア開発銀行の場合、84億ドル対9億ドルである。アメリカ開発銀行は、82億ドル対25億ドルである。
IMFが保有している1億300万オンスの金の市場価格は、帳簿価格を241億ドルも上回っている。したがって、そのこの金のいくらかを売るだけで、債務帳消しの資金は十分である。多分IMFの金の売却のせいで、市場価格が10%下落したとしても、165億ドルの資金が出るわけで、これは、アフリカ開発銀行が持っている50~55億ドルの債務とその他のマイナーな国際金融機関の債務の帳消し資金としては十分である。
以上述べてきた事実は、
1)全面的な帳消しが長期の解決をもたらすことが明らかであるにもかかわらず、依然としてHIPCイニシアティブのような部分的な債務救済を、以後続けるべきか?
2)国際金融機関自身が十分な資金を持っていることが明らかなのに、納税者の負担で、このようなHIPCsイニシアティブを続けるべきなのか? といった根本的な疑問を投げかけている。
2)IMFは最貧国に水の民営化を強制している
2000年、12カ国の重債務最貧国に対して、IMFは融資に際して、水の民営化、あるいは受益者のコスト負担制度を押しつけた。皮肉なことに、これが、悪評高い構造調整政策に代わるものとして、1999年、鳴り物入りで始まった「貧困削減成長ファシリティ(PRGF)」の融資によるものである。水の民営化と受益者負担は、貧困削減に貢献するどころか、最貧国の人口の大部分を占める貧困層が水を手にいれることも、購入することもできなくなった。その最大の犠牲者は女性と子どもである。劣悪な水による疫病で毎年500万人の子どもが死んでいる。水が高価になり、手に入らなくなることによって、女性は、毎日遠いところまで水汲みにいかねばならず、また汚染した水しか手に入らなくなった。
12カ国のリスト:アンゴラ、ベニン、ギニアビサウ、ホンデュラス、ニカラグア、ニジェール、パナマ、ルアンダ、サオトーメ・プリンシぺ、セネガル、タンザニア、イェーメンである。